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介護事業所の倒産・減益が深刻化!その理由や倒産を防ぐ対策を解説

2024/12/23
介護事業所の倒産・減益が深刻化!その理由や倒産を防ぐ対策を解説

少子高齢化が進む現代日本では介護ニーズが年々高まっていますが、その一方で、介護事業所の倒産件数は増加傾向にあると言われています。経営を続けている事業所でも減益に悩んでいるケースは多く、今後も倒産件数はさらに増加する可能性があります。
なぜ介護ニーズが高まる中、介護事業所の倒産件数、減益が加速化しているのでしょうか?
本記事では、介護事業所の直近の倒産状況や、倒産・減益が加速化している原因、事業を継続するための対策について解説します。

  • 2024年上半期の介護事業所の倒産件数は過去最多を更新
  • 倒産、減益が加速している原因は報酬改定や新型コロナ、人手不足など多岐にわたる
  • 倒産防止のためには、人手不足の解消やコストの見直し、資金の確保に取り組むことが大切

過去最多を更新!介護事業所の倒産件数

介護事業所の倒産件数はここ最近、増加傾向にあります。東京商工リサーチの調査によると、2024年度上半期(4~9月)における介護事業者の倒産件数は95件で、前年同期よりも66.6%も増加しました。これまで最多だった2022年上半期の73件と比べても20件以上増加しており、上半期としては過去最多を更新しています。

介護事業所は、訪問介護や通所・短期入所、有料老人ホーム、その他の4業種に区分されており、中でも倒産件数の割合が多かったのは訪問介護所です。95件のうち46件と約半数を占めており、前年同期比35.2%増となっています。
次いで、通所・短期入所が33件、有料老人ホームが6軒、その他が10件となっており、いずれも2023年上半期に比べて大幅増となっています。

なお、2024年の介護事業所の倒産件数は9月までで132件です。この時点で既に前年の122件を上回っており、これまで年間最多件数を記録していた2022年の143件を抜くのは時間の問題と考えられています。

(参考:東京商工リサーチ『2024年度上半期の「介護事業者」倒産 95件で最多に 「訪問介護」46件を中心に、記録的な増加』)

特別養護老人ホームの現況

倒産は免れているものの、減収減益に悩まされている介護事業所は少なくありません。社会福祉法人経営動向調査(2024年9月調査)によると、2024年度上半期の実績見込みについて、収益が減少したと回答した特別養護老人ホームの割合は以下のようになっています。

・サービス活動収益:13.1%
・施設入所収益:12.3%
・短期入所収益:25.3%
・通所収益:30.7%

中でも短期入所収益は、約6%の事業所が15%以上の減益となっています。一方で、サービス活動費用が「増加した」と回答した事業所は31.0%であるのに対し、「減少した」と回答した事業所はわずか6.3%に留まっています。
なお、事業所全体の収益とサービス活動費用の増減差額は、「増加した」が19.5%、「減少した」が22.1%となっており、2割強の事業所がサービス活動費を収益でまかなえていない状態にあることが明らかになりました。

(参考:独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター リサーチグループ『社会福祉法人経営動向調査の概要』p21

介護事業所の倒産、減益が加速化している理由

介護事業所の倒産件数の増加や減益が深刻化している理由は、大きく分けて4つあります。

報酬改定の影響

2024年度の介護報酬改定により、訪問介護の基本報酬の引き下げが実施されました。
基本報酬は、介護事業所が訪問介護サービスを提供した際、その対価として支払われる報酬のことで、単位数×単価で計算されます。今回の改訂では、訪問介護の基本報酬における単位が現行より2~12単位(約2%)引き下げとなっており、訪問介護所の減益の理由の一端と考えられています。

(参考:厚生労働省『令和6年度介護報酬改定における改定事項について』p165

新型コロナウイルスの影響

2020年初頭から全世界で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、各産業に大打撃を与えました。介護事業所も例外ではなく、感染拡大防止のためにデイサービスの利用を停止したり、あるいは事業所そのものを休業したりする事例も多数見受けられました。
現在は多くの事業所がサービスを再開させていますが、長引くサービスの休止や休業に伴う減収減益から回復できず、今になって倒産を余儀なくされる事業所も多いようです。

人手不足

介護業界は、人手不足が顕著な業界の一つです。
令和5年度介護労働実態調査によると、事業所全体の従業員の過不足感について、不足していると回答した事業所は全体の64.7%にも上っています。特に訪問介護員は不足の割合が8割に達しており、訪問介護所における人手不足が顕著であることが分かります。
現場で人手が不足していると、利用者の人数も制限せざるを得ないため、減益の理由の一つとなっているようです。

(参考:公益財団法人介護労働安定センター『令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について』p3

コストの増加

物価高や円安、エネルギー価格の高止まりなどの影響により、介護事業所のコストが増加しているのも倒産や減益の原因の一つです。前述した理由による減収減益に加え、支出が大幅に増加したことでWパンチとなり、倒産に追い込まれる事業所は少なくありません。

介護事業所の倒産を防ぐための対策

介護事業所の倒産を防ぐための主な対策には、以下のようなものがあります。

必要な人材の確保

介護事業所へのニーズが高まっていても、サービスを提供する人材が確保できなければ収益につなげることはできません。需要に対して供給が追いついていないと感じたら、効果的な宣伝活動やマーケティングを行い、人材確保に努めましょう。
加えて、従業員一人あたりの労働生産性を高めるために人材育成に力を入れることも大切です。具体的には、研修プログラムを充実させる、若手社員に明確なキャリアパスを用意する、資格の取得を支援するなどの方法を採用し、優秀な人材の定着を目指しましょう。

コストの見直し

運営コストを削減するためには、現時点での支出状況を正確に把握する必要があります。どこにどのくらいの費用が掛かっており、収益の何割を占めているのか、などの情報をきちんと洗い出すと、無駄な部分やカットできる部分が可視化されます。
必要な経費と無駄な経費をしっかり見極め、余分なコストはできる限りカットしましょう。

運転資金を確保する

資金繰りが悪化している場合は、当面のキャッシュを確保するための対策を講じることが大切です。例えば、国や自治体が行っている助成金・補助金を利用する、公的融資や金融機関の融資を申請するなどの工夫が挙げられます。
また、介護報酬債権を業者に買い取ってもらう介護報酬ファクタリングサービスを利用するという手段もあります。特に介護報酬ファクタリングサービスは、助成金や補助金、融資などに比べると短期間で資金を確保できるため、今すぐキャッシュフローを改善したいという場合に役立つでしょう。

M&Aを検討する

M&Aとは、2つ以上の会社が合併したり、ある会社が他の会社を買収したりする方法のことです。M&Aを実行すると、譲り受け企業(買収側)が保有する設備や人材、顧客などの経営資源を基に、経営基盤の立て直しを図ることができます。
なお、雇用やサービスの提供は譲渡先の企業が請け負うため、従業員が生活に困ったり、利用者がサービスを受けられなくなったりする心配はありません。
「これ以上の経営は難しいけれど、事業は継続していきたい」という場合は、M&Aを検討するのも一つの方法です。

【まとめ】
介護事業所の経営難は深刻!倒産を防ぐための対策を実施しよう

介護事業所は、報酬改定や新型コロナ、人手不足などの影響により、ここ数年で倒産や減益が加速しています。倒産、減益は今後も続くとみられており、早急な対策が不可欠です。
効果的な宣伝活動による人材採用やコストの削減、運転資金の確保に努めるとともに、状況に応じてM&Aも検討した方がよいでしょう。

けあコンシェルでは、介護事業経営支援の一環として、介護福祉特化のM&Aサービスや、介護報酬ファクタリングサービスを提供しています。どちらも介護福祉業界に特化したサービスであり、経営難のサポートや経営基盤の立て直しに効果的です。

事業所の経営難や資金繰りなどにお悩みの方は、けあコンシェルのサービスのご利用をぜひご検討ください。

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