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特定技能外国人を受け入れるには?条件や必要な準備を解説

2019/08/13
特定技能外国人を受け入れるには?条件や必要な準備を解説

少子高齢化が進み、労働人口が減少するなか、人材確保に苦しむ企業は少なくありません。なかでも、高齢者が増えることで今後需要が拡大し、ますます人手不足が深刻化すると予想されているのが介護業界です。国は、問題解消に向けたさまざまな取り組みのひとつとして外国人の受け入れに力を入れています。そこで、現場の頼りの人材となることに期待が持たれている特定技能外国人の受け入れの条件や準備について解説します。

介護分野での特定技能外国人の受け入れとは?

介護分野で外国人の受け入れを行う際には、これまで「在留資格」「経済連携協定(EPA)」「技能実習」の3つの制度を利用することになっていました。しかし、2018年12月8日に国会で「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立したことにより、新たに「特定技能」の制度も利用できるようになっています。この改正法は、14の業種において外国人に在留資格が新設されることが定められているもので、2019年4月1日から施行されています。14の業種とは、建設業や造船・舶用工業、宿泊業など多種となっていて、介護も認められている業種のひとつです。

今まで移民政策を取らないことを方針としてきた日本では、単純労働のための外国人受け入を、原則禁止としてきました。しかし、少子高齢化は留まることなく、このままでは、人手不足は深刻になる一方です。介護業界でも、現場で働く介護職員の待遇や労働環境を改善させるなど、さまざまな対策が取られていますが、人手不足が改善されていない現実があります。このような経緯から、国は在留資格(介護)や技能実習(介護)に続いて、特定技能の制度でもさらなる外国人の受け入れに踏み出さざるを得なくなったのです。

特定技能は、人材不足の状況が特に厳しいといわれている業種に限定して取られた制度で、受け入れ可能となっているのは「特定技能」と呼ばれる在留資格を取得した外国人のみとなっています。特定技能には2種類あり、1つは指定された14の業種すべてに対応している「特定技能1号」、もう1つは建設業や造船・舶用工業のみ就業できる「特定技能2号」です。また、特定技能1号の資格を取得している外国人を「1号特定技能外国人」、特定技能2号の資格を取得している外国人を「2号特定技能外国人」と呼びます。介護分野で受け入れが可能となっているのは、特定技能1号資格の取得者である1号特定技能外国人だけです。国は、この制度を利用することで5年以内に最大34万5000人、介護業においては最大6万人を上限とする受け入れを想定しています。

特定技能外国人の受け入れ条件

介護における特定技能外国人の受け入れは、特定技能1号の受け入れ条件を満たしていることが必須です。特定技能1号の受け入れ条件には、まず在留期間に対する定めがあります。日本に居住できる期間は1年、もしくは4カ月か6カ月ごとの更新が必要で、通算5年が上限です。加えて、基本的には家族を一緒に連れてくることは認められていません。

また、日本で生活するにあたり支障がないレベルの日本語能力があることも条件です。ある程度の日常会話ができるほか、業務を遂行するにあたり差し障りのない基本的な専門知識も有していなければいけません。このようなことから、特定技能1号資格を取得するにあたり、日本語と技能に関する2つの試験を共に合格することが必要とされています。日本語試験については「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験」のN4以上、ならびに介護中の会話や声かけなどについて問う「介護日本語評価試験」に合格しなければいけません。

一方、技能に関しては、介護業務の基本の知識や技術を問う「介護技能評価試験」で評価されます。これらの試験のうち、介護日本語評価試験と介護技能評価試験の受験は17歳以上が対象です。また、日本語試験も技能試験も、技能実習2号を修了した外国人には免除制度があります。

特定技能外国人を受け入れるために必要な準備

特定技能外国人と雇用契約を結んで受け入れる企業は「特定技能所属機関」と呼ばれ、一人の外国人に対して特定技能所属機関は必ずひとつです。日本へ働きに来る外国人にとって唯一の就業場所となる企業は、責任を持って受け入れの準備をしておくことが必要となります。

特定技能外国人の受け入れを決めたら、まずはハローワークや民間の人材紹介会社などを利用して求人活動を開始しますが、その際には、募集要項が制度を遵守している内容となっているかを確認しておかなければいけません。雇用における契約内容には、報酬額が日本人と同等かそれ以上でなければいけないといった決まりがあるからです。また、雇用後に支払う給与は、具体的な金額が確認できるよう振込などの方法を使うことが求められています。このため、現金払いなどで支給していた企業は、振込などの支払いシステムを事前に準備しておくことが必要です。

さらに、慣れない日本での生活をする外国人への支援を行うことも求められています。具体的には、入国や帰国時の送り迎え、日本での住宅の確保などです。さらに、行政手続きのサポートや相談などへの対応は、外国人が理解可能な言語で行うこととされています。ただし、企業によっては十分な支援をすることが難しい場合もあるでしょう。そのような際には、事前に特定技能外国人に対する支援を登録支援機関に委託する契約をしておくと安心です。登録支援機関とは受け入れ企業に代わって、特定技能外国人の支援計画を立てたり、実際にサポートをしたりするところです。民間の法人や社労士、そのほか支援体制のある団体などが登録し活動を行っています。

登録支援機関に委託しない場合には、自ら支援計画を作成しておかなければいけません。また、日本語に不慣れな外国人を受け入れる場合には状況に応じて、原則本人が申請することとなっている在留資格の認定あるいは変更申請の取り次ぎサポートも必要です。さらに、日本での生活に関する情報を提供する生活オリエンテーションを実施する場合には、実施に向けた準備も要します。これらの手続きや準備をこなし、受け入れる外国人に特定技能の在留資格の許可が下りたら、初めて正式に働き始めてもらうことができるのです。

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