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特定処遇改善加算の算定要件!必ず満たさなければならない3つのこと

2019/10/15
特定処遇改善加算の算定要件!必ず満たさなければならない3つのこと

2017年7月に発表された特定処遇改善加算は、2019年10月の消費税増収分などを原資として新設されました。全職種の平均賃金よりも低いとされる介護職員への処遇改善が必要とされる中での制定です。職員への処遇や環境を改善すれば事業所の評価も高まり、引いては人員確保にもつながると考えられます。今回の算定要件は何か、必須となっているものについて押さえておきましょう。

算定に向けた取り組みを可視化する

厚生労働省は、特定処遇改善加算に関わる改善への取り組みを、「見える化」することを2020年度からの算定要件のひとつにしています。ホームページでの公表のほか、事業所などの外部者が閲覧できる場所への掲示でも問題ありません。以下に、主な取り組み内容を紹介していきます。

1.職場環境の改善
職場環境の改善には、事業所が職員の資質向上を目指すための資格取得支援を行うことが含まれています。具体的には、介護福祉士取得に必要な実務者研修、サービス提供責任者研修等がこれに当たると提示されました。小規模事業所同士が、採用や人事などの制度を共同で構築することも職場環境の改善とされています。また、現行の「キャリアパス要件(II)」を満たしていない事業所の場合は、介護職員任用時の要件を書面で通知し、資質向上支援計画の作成や研修などを実施して改善していかなければなりません。

2.介護職員の処遇改善
介護職員の環境に関する処遇改善を進めるためには、離職防止のメンター制度の導入、煩雑な業務の省略化で負担を軽減することが挙げられています。雇用管理の改善のためには、管理者への「労働・安全衛生法規」などに関する研修会への参加が求められました。また、子育てと仕事を両立するためには、育児休業制度や事業所内保育施設を設けることが、介護職員の環境を整える上で見逃せません。さらに、職場内のコミュニケーションを円滑にするために会議を行うなどして、勤務環境やサービスの改善を図るとしています。介護職員の健康診断などの健康管理、休憩室といった整備も必要です。

スタッフの配置要件を満たす

特定処遇改善加算にはI~Vの算定要件があり、介護福祉士などの配置要件を満たすことが必要とされました。最も高い「特定処遇改善加算I」を取得するためには、手厚い介護福祉士の配置を行わなければなりません。特定処遇改善加算の本来の目的である、経験豊富なベテランの介護福祉士の処遇改善を行うことになるからです。申請時点の計画書には間に合わなくても、介護福祉士の配置要件を満たすために準備を進めている場合は、算定開始時に要件を満たしていれば加算が可能になります。

Iよりも加算が低い「特定処遇改善加算II」の場合は、介護福祉士の配置要件を満たさなくてもよいとされています。しかし、加算された額の配分については一定のルールが示されているため、事業所はベテランの介護職員グループを配置しなければなりません。新設したばかりなどの事情がある場合には、その旨を計画書に記載することも必要です。

処遇の改善を具体的に行う

特定処遇改善加算は、主に10年以上の実務経験を積んだ介護福祉士に対する処遇改善を目指すものです。事業所ごとに異なる現状にも配慮した厚生労働省は、事業所の判断で処遇改善の対象職員を柔軟に定めてもよいと発表しました。ただし、最低条件とするルールもあるため、各事業所が自由に決められるものではありません。

1.10年以上の経験を持つスタッフを優先
特定処遇改善加算の算定要件では、勤続10年以上の実務経験を持つスタッフを優先するとしています。勤続年数の数え方は、必ずしも同じ事業所での経験だけに限りません。ほかの事業所や医療関係での勤務経験も通算することができます。年収440万円、または月額8万円の賃金改善となる、10年以上経験のある職員が、1事業所の中に1人以上配置されることも必要です。処遇改善による引き上げ額は、ほかの介護職員の2倍以上になることが求められています。

2.高い技能を持つスタッフを優先
10年以上の実務経験者がなくても、事業所ごとに設けられた評価システムによって同等の能力があると認められる場合は、経験・技能のある人材として柔軟に算定できます。勤続年数10年以上の介護福祉士が在籍しない事業所では、「高い技術を持つ人材」のグループを設定します。その上で、グループの中から特定処遇改善加算の対象の職員を選ぶといいでしょう。その場合、事業所は処遇改善計画書などに基準設定となった考え方を記載しなければなりません。

新設の事業所や職員間の技能に差がない場合には、相対的に高い技能を持つ処遇改善の対象者を決めるのが難しくなります。厚生労働省は、「2019 年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A」の中で、事業所の裁量に委ねるとしました。この場合は、事業所内での話し合いによって優秀な人材を決定します。その上で、「経験・技能のある障害福祉人材」のグループを設定しない理由を計画書に記載しなければなりません。

加算の本旨を満たすことが重要

特定処遇改善加算を算定するためには、職場環境などを改善し事業所の取り組みを可視化することが必要です。厚生労働省が提示する基本の設定に基づきながら、事業所ごとの要因も勘案するといいでしょう。ただし、算定要件には一定のルールがあることを忘れてはいけません。介護職員の処遇改善やサービス向上で魅力ある事業所にするためにも、算定要件に合わせて事業の環境を整えていくことをおすすめします。

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