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特定処遇改善加算とは何?概要と導入の目的について理解しよう

2019/10/07
特定処遇改善加算とは何?概要と導入の目的について理解しよう

厚生労働省は、2019年10月の消費税値上げによる税金などを財源に、「特定処遇改善加算」を設けると発表しました。人材不足が深刻な介護業界において、離職を防ぎながら人材確保へ向けた処遇改善として期待が寄せられています。事業所の経営陣は、新制度の概要を把握して申請などの手続きをしていくことが必要です。特定処遇改善加算の概要や目的を確認し、導入への準備を始めませんか。

特定処遇改善加算は現行加算に上乗せできる加算

特定処遇改善加算は、現行の加算とは別に算定されるものです。従来の処遇改善加算である「加算I」~「加算III」を取得していることが最低条件とされています。ただし、すべての事業所に無条件で加算されるわけではありません。厚生労働省により一定の要件は提示されましたが、事業所の裁量に委ねられる点も多くあります。主な対象は10年以上の経験がある介護福祉士で、実務経験が豊富なベテランが重視される加算になりました。

特定処遇改善加算を考える上では、事業所ごとの違いについても検討する必要があります。たとえば、10年以上のベテランが多い事業所と、実務経験の浅い介護福祉士のみの事務所では加算の算定方法は異なります。特定処遇改善加算は賃金改善だけに使う加算なので、その配分や事務作業について詳しく理解しておかなければなりません。2019年の10月から加算を受けるには、8月末までに手続きをする必要がありました。しかし、9月末までに「処遇改善計画書」などを提出すれば、11月からは加算が適用されます。早いに越したことはありませんが、間に合わなかったからと言って焦る必要はないでしょう。

特定処遇改善加算の仕組みは?

特定処遇改善加算の予算は年間2000億円程度で、半分は税金から、残りは40歳以上の保険料や利用する側の自己負担としています。新加算の仕組みは、基本的には従来のものと変わりません。提示された加算率は、従来のように事業所が提供するサービスの種類によって異なります。また、事業所内での配分方法として、対象になる職員に対して優先順位が設けられ、リーダーの役割を担う介護福祉士が最も高い順位になりました。さらに、月8万円の賃上げを行う職員、または年収440万円を超える職員を最低でも1人を確保しなければなりません。

事業所内での配分に関しては、リーダー級の職員への賃上げ額は、ほかの職員の2倍以上の水準にすることも必須になりました。事業者は、新ルールについて1つずつ確認しながら申請を行うことが大切です。厚生労働省は、2019年5月の「2019 年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」の中で、事業所に対するさまざまな配慮を示しました。たとえば、10年以上の経験者がいない場合でも、職場環境等要件への複数の取り組みなどの要件を満たせば申請が可能としています。これからの制度の動きを見逃さないことも、特定処遇改善加算におけるポイントとなるに違いありません。

特定処遇改善加算を導入するメリット

介護職員には従来よりも処遇改善が期待される特定処遇改善加算ですが、事業所が導入するメリットはどこにあるのでしょうか。加算を実際に算出すると、予想額よりも少ないと感じるかもしれません。しかし、視野を広げてみると事業所が得るメリットもたくさんあることが分かるでしょう。

1.算定できること自体が対外的なアピールになる
まず、特定処遇改善加算が算定される事業所への信頼感が増す、というメリットが挙げられます。加算への要件を満たしているということは、「事業所の経営方針がしっかりしている」というアピールポイントになるでしょう。キャリアパスや職場環境の算定要件が多いほど、加算率が高くなるというメリットもあります。さらに、社会のニーズに合った環境の事業所として、職員や利用者だけでなく求職者にも安心感を与える効果も見逃せません。人材確保の面でも有利になる要素なので、人手不足解消へつながることも期待できます。

2.管理者や責任者のモチベーションアップにつながる
厚生労働省が特定処遇改善加算を新設した主な目的は、報酬を引き上げることで働く人の意欲を高めることにあります。特に、10年以上長年に渡り介護の仕事に携わってきた、リーダー格の管理者や責任者に対し手厚くする方針を示してきました。離職する人が多いとされる介護業界で、積み上げてきた経験を無駄にするのは避けなければいけません。長年働いてもほかの業界ほど収入が上がらない現状では、報酬の上乗せはモチベーションを上げる大きな要因になるのは間違いないでしょう。リーダーのモチベーションが上がれば、職場全体の雰囲気にもよい影響を及ぼすことになります。

3.運営体制を見直すきっかけになる
特定処遇改善加算を申請する要件には、対外的にも処遇改善への取り組みを発信しなければなりません。たとえば、事業所に在籍する職員の中で誰が10年以上の経験者なのか、一人ひとりのスキルを再確認する必要が出てきます。特定処遇改善加算を算定する際には、改めて事業所の運営体制にも目が向き見直しすることになります。さまざまな要件を満たす必要のある加算の新設により、厚生労働省は事業所のサービスが向上することを求めていると言っても過言ではないでしょう。

特定処遇改善加算を取れるように準備しよう

特定処遇改善加算は、基本的には従来の算定方法とは大きく異なるものではありません。ただし、必須とされる要件が複数あることには注意が必要です。加算により事業所が得られるメリットをしっかり理解し、算定するために必要な情報を得て準備し、早めに申請することをおすすめします。特定処遇改善加算のある事業所であることを、対外的にもアピールしていきましょう。

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