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健全な経営が基本!社会福祉法人の監査基準について

2016/09/05
健全な経営が基本!社会福祉法人の監査基準について

非営利法人として、高い公共性を持つ社会福祉法人。自社の利益を第一に考える営利企業とは異なり、利益追求だけでなく地域福祉に貢献することが求められています。税制面の優遇措置だけに目が行きがちですが、公共性の高さゆえに監査の際も厳しい視線にさらされます。社会的な使命と法人としての収益性の間に揺れる、社会福祉法人の監査基準について見ていくことにしましょう。

社会福祉法人の公共性と監査基準について

そもそも社会福祉法人とはどのような存在でしょうか。社会福祉法人制度の始まりは第二次世界大戦後にさかのぼります。終戦後の混乱の中で、生活困窮者への早急かつ的確な対応が求められた時代、十分な資源のない政府に代わって、民間の力が求められた時代でした。その後も地域の福祉を担う存在としての役割は変わらず持ち続けており、営利法人だけでは満たすことのできないニーズの担い手として、現在に至っています。営利事業者の活躍が目立つ昨今だからこそ、とりわけ社会福祉法人の非営利法人としての役割が強調される時代になったといえるかもしれません。

社会福祉法人に対する監査は、法定受託事務として国・都道府県・市などが実施します。各市のホームページには社会福祉法人・社会福祉施設の指導監査基準が公示されていますので、確認しておきましょう。監査の内容は主に運営と財務とに分けられます。法人の運営する事業が法令や定款などに沿った内容となっているかを確認するのが運営監査、経理状況や会計基準に沿った経理処理がなされているかを確認するのが財務監査です。一般的に監査と聞いた場合思い浮かべるのは後者かもしれません。ですが社会福祉法人においては、前者の運営監査も同じような重要性を持っています。ここで重大な問題が発見されると特別監査へと移行し、改善命令が出されることとなります。

監査はどんなメンバーで行われる?

先に紹介した通り、社会福祉法人の監査を行うのは該当する行政機関の役割です。政令指定都市であれば同市の保健福祉局総務部監査指導課によって行われることになるでしょう。運営監査に関してはこの通りですが、財務監査に関してはより厳しい目が向けられています。税制で優遇されている社会福祉法人だからこそ、財務状況の明確化が必要とされているのです。行政機関に属さない外部の専門家を招聘することで、監査機能の専門性・独立性を高める目的もあります。この場合先に述べた行政機関の職員以外の実施者が監査を行うことになります。具体的には公認会計士や税理士、監査法人といった人々が担う役割です。一口に監査といってもその方法はさまざまなことがわかりますね。

監査の具体的な内容と罰則について

ここからは監査の具体的な内容を見ていくことにしましょう。基本的なこととして、法人全体の監査と施設ごとの監査の二種類があることを知っておきましょう。そして法人監査には運営監査と会計監査に更に細かく分けられます。ここでは法人監査における運営監査と会計監査を見ていきましょう。

運営監査では法人組織運営から法人事業運営、法人管理といった項目に細分化して監査が行われます。組織運営では、定款が定款準則に準拠しているか、理事や監事に欠員が生じていないかなどが確認されます。他にも理事会や評議員会の開催状況や審議事項についてなど、監査項目は多岐にわたるのです。一方、法人事業運営では、定款に記載された事業が行われているか(記載されていない事業を行っていないか)を確認される他、事業内容がより詳しく検分されることとなります。ここでその法人が社会福祉法人としての役割をきちんと果たしているかが、確かめられるのです。定額での福祉サービスの提供が行われているか、社会福祉事業を行うにあたって地域との連絡調整が十分になされているか、公益事業を行う場合は社会福祉事業とのバランスが取れているかなどが判断の基準となっています。他にも収益事業を実施している場合、その事業内容が社会福祉法人として適切か、収益事業によって社会福祉事業の経営に支障を来していないかなども重要な着眼点です。最後に法人管理を見てみましょう。こちらでは人事管理として施設長の任免に関する手続き、資産管理が適切になされているか、情報提供が行われているかなどが確認されます。

次に会計監査の内容をみてみましょう。会計監査は会計管理、会計記録、運営費等の使途制限の項目にわかれ、それぞれ予算編成や事業区分、契約書の内容などがみられるほかにも、会計処理の記録が会計基準に基づいて作成されているか、帳簿類に不備はないかなども確かめられます。また資金の運用について不適切な資金の使途がないかなども監査項目に入っています。

駆け足ではありますが、監査項目を確認してきました。これらの項目で改善項目があれば改善報告書、改善命令を出し、その後の改善がみられなければ特別監査の実施、さらには改善命令に従わなければ業務停止命令もしくは役員解職勧告が出され、それでも目的が達成されない場合、解散命令に至ることになります。監査は法人を解散させるために行うのではなく、社会福祉に貢献する適切な法人運営を目指すためのもの。行政機関と協力して地域に豊かな社会福祉事業を提供できるよう、日頃から法令の遵守を心がけたいものです。

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