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開業者が知っておくべき有料老人ホームの設置基準のポイント

2016/09/26
開業者が知っておくべき有料老人ホームの設置基準のポイント

施設の中では比較的始めやすい有料老人ホーム。しかし有料老人ホームを始めようと考えてから開設までには非常に長い道のりが待ち構えています。決断から開設に至るまでの事務手続きの流れを確認しておきましょう。

法令遵守が重要!有料老人ホームに関連する届け出

まずは基本的な流れを確認しておきます。有料老人ホーム設置を決断すると、最初に行うのは事業所内での事業計画の立案です。施設の理念や運営方針の決定、入居者の見込み数や地域ニーズの調査などに始まり、建設地の選定や施設の基本設計も行うことになるでしょう。それから資金計画及び長期の収支計画、それに職員の雇用計画などを立てていくことになります。事業計画の準備と並行して、市町村の関係機関との連絡調整も行いましょう。土地利用規制の有無や、各市町村の介護保険計画の確認、それに福祉事業開始の相談・報告も必要となります。

最終的に有料老人ホーム設置の認可を行うのは都道府県の役割です。市町村の設置意見書を元に、県の担当部局と事前協議を行うことになります。このとき事前協議書の提出が求められるのですが、これが膨大な資料を準備する必要に迫られます。設置趣意書や市町村長設置意見書などからなる基本事項、定款、法人登記事項証明書などからなる設置主体、他にも立地条件、規模及び構造設備、職員の配置等、管理・運営、事業収支計画、契約内容等、両手でもとても足りない量の関係書類を整備しなければなりません。これらの書類を整えるのとは別に、消防計画書を消防署に提出したり、土地利用に関する許認可、届出事項の作成をしたりと開設には非常な手間が発生します。

しかし事前協議が終われば、届け出は8割がた終わったようなもの。建築確認申請を得て建設に取り掛かり、その後有料老人ホーム設置届を提出することになります。介護付有料老人ホームの場合、指定特定施設入居者生活介護申請を、開設1ヶ月前までに行っておきましょう。ここまで紹介した手順は各都道府県によって違いがあります。それぞれのホームページに概要が示されていますから、事前に調べておくことをお勧めします。

有料老人ホームにおける建物・設備の基準とルールについて

開設に必要な手続きや届出について長々と書いてきましたが、ここからは有料老人ホームの設備基準について確認していくことにしましょう。これに関しては厚生労働省ホームページに載せられている、「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について(最終改正平成27年3月30日)」を参照します。国による有料老人ホームの設置および運営指針が示されていますから、必ず目を通しておきたいところです。

この中から建物・設備に関するルールを見ていくことにしましょう。建物に関しては建築基準法や消防法の遵守、入居者の身体機能の低下や障害が生じた場合にも対応できる(=バリアフリー)ことが求められています。建物自体の大きさに関する規定は「入居者が快適な日常生活を営むのに適した規模」とあるのみです。

一方部屋の大きさに関する規定は存在しており、居室は個室で入居者1人あたりの床面積は13平方メートル以上となっている他、廊下の幅に関する規定も存在し、入居者が車いす等で安全かつ円滑に移動できるように、居室の構造によって1.4メートルから2.7メートル以上と定められています。他にも浴室や洗面設備、便所に食堂など、生活に必要な設備の設置が義務付けられています。

法律の改正内容を知ろう!有料老人ホーム設置基準の変遷

現在の設置運営標準指導指針は平成27年3月30日に改正されたものですが、それまでの設置基準とはどのような違いがあるのでしょうか?今回の改正の背景には、無届け老人ホームの急増があります。一部で設置基準の緩和を図り、代替措置や将来の改善計画などを許容した内容とすることで、届出を行わずに食事の提供や介護などを行っている施設に対して、自発的に届出を提出してもらいたいとの狙いがあるようです。

具体的な変更点を見てみましょう。既存建築物・小規模建築物(たとえば民家を活用した有料老人ホーム)に関しては、その特性に応じた見直しがなされていますし、入居定員が少ない場合は、地域との定期的な交流を運営懇談会に代替するものと認めています。他にも外部サービスを利用者が選択できるような環境の構築や、サービス付き高齢者向け住宅の取り扱いの見直しなどが行われています。

一口に有料老人ホームの設置基準といっても、建物や設備に関するものから人員に関するものまで実に多様です。有料老人ホーム設置は地域の福祉計画に大きな影響を与えるものですから、事前協議が非常に重要な意味を持ってきます。また法律自体も時代に合わせて変化していくものです。具体的にどのような改正がなされたのか、その背景にはどのような意図があるのかをきちんと理解しておけば、改正を恐れることはありません。

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