
正しく理解しよう!有料老人ホーム人員基準の内容とは?

施設運営は介護業界の中では参入障壁の高い分野です。通所介護や訪問介護に比べて初期投資が莫大なものになりがちですし、介護保険施設を運営しようと思えばそもそも社会福祉法人や医療法人といった法人格が必要になります。そんな施設運営の中で比較的参入しやすいのが有料老人ホームではないでしょうか。上記法人だけでなく株式会社のような民間企業でも運営可能で、現在も多くの企業が有料老人ホームの運営を行っています。しかしながら人材の確保が至上命題であるのは、他の事業所と変わりありません。今回は有料老人ホームにおける人員基準について見ていくことにしましょう。
有料老人ホームの種類による人員基準の違い
有料老人ホームには3種類が存在します。介護の必要がない人が入居するタイプの「健康型」。今現在介護が必要、あるいは今後必要となるであろう人が入居する「住宅型」、そして要介護度1以上の人の入居が原則の「介護付」の3種類です。
この中で介護スタッフが常駐しているものは、最後の介護付有料老人ホームのみとなります。住宅型の場合、介護サービスを提供するのは有料老人ホームのスタッフではなく、外部の訪問介護事業所になります。一見すると住宅型のメリットは薄いようにも見えますが、必要な分だけのサービスを受けることが可能な点、その分だけ費用を抑えることができる点などは介護付にはないメリットといえるでしょう。
介護付有料老人ホームは、介護サービスが付属している反面、定額料金であり月々の支払いが高額になりやすい傾向にあります。人員基準の話をすると、有料老人ホームの中で人員基準が定められているのは介護付有料老人ホームのみとなっています。その他の住宅型及び健康型は有料老人ホーム自身が介護サービスを提供しないため、必要な人員基準は定められていません。
要支援・要介護者の数とスタッフ数の割合
では、介護付有料老人ホームにおける人員基準はどのようなものでしょうか。介護施設でよく耳にする人員配置基準といえば、3:1の数字でしょう。これは介護付有料老人ホームでも同様です。具体的には要介護および要支援2以上の入居者3名に対し、1名の職員を配置することを意味しています。30人の入居者が生活している施設であれば、10人の職員が必要とされるのです。
この数字をより詳しく理解するためには、常勤換算についての正しい知識が不可欠となります。よくある間違いとして、1日に上記の人数が配置されていると勘違いしがちです。1日30人の利用者さんに対し、10人の職員がいると思ってしまうと、実際にはもっと少ないことに驚くことになってしまいます。
3:1の数字は「入居者3名に対して1名の常勤職員を雇っている」ことを意味しており、毎日の人員配置数ではないことを理解しておきましょう。また常勤職員の数え方にもちょっとした特徴があります。ここではその施設で雇っている常勤職員のみを数えるのではなく、パート職員なども常勤換算して数える方式が採用されています。これが常勤換算といわれるもので、たとえば常勤職員が週40時間働いている職場では、週20時間勤務のパートさんは0.5人として計算します。また、常勤職員数には介護職員だけでなく看護職員も含まれますので、この点でも注意が必要でしょう。
先ほどの入居者30名の施設の例に戻ってみましょう。この施設で最低人員基準の3:1を満たすためには、介護職・看護職が常勤換算で10名必要となります。常勤介護職6名、常勤看護職1名、週20時間のパート介護職・看護職が合わせて6名。これで最低基準を満たすことが可能です。もちろん、人員構成をすべて常勤で構成することも可能です。
看護職員・介護職員などの専門職の人員数について
介護付有料老人ホームの人員基準は上記の通りですが、他にも最低限必要な職種がありますので確認しておきましょう。まずは生活相談員。最低でも常勤1人の配置が義務付けられています。介護士は常に1名以上の配置が義務付けられており、これは24時間介護に従事する人が最低1人は配置されていることを意味します。
看護職員(看護師もしくは准看護師の資格が必要)も30名未満で最低1人、その後30名を超えて50名、またはその端数を増すごとに1人を加えた数以上が必要です。他にも機能訓練指導員、介護支援専門員がそれぞれ兼務可能で、1人以上の配置が必要なほか、管理者、つまり施設長が専従で1名必置とされています。
このように、有料老人ホームで必要とされる人材は多様であり、求められる有資格者の種類も訪問介護事業所や通所介護事業所に比べて多くなっています。
初期投資額の大きさの他にも、人材を集めるという点からも有料老人ホームの運営には難しさがあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。優秀な人材を集めることは多くの企業が抱える課題であり、目標でしょう。能力だけでなく資格の有無も問われることの多い介護業界では、とりわけその傾向が強いということができそうです。
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