
介護施設がコロナ回復患者の受け入れをおこなう際の臨時特例措置について

新型コロナウイルスが流行したことにより、病院に入院する患者数が増加しています。また、重症患者の数も多く、病院や医療従事者の負担が増大していることから、介護施設も協力を求められているのが現状です。そこで、この記事では、新型コロナウイルス感染・発症後、回復傾向にある患者を受け入れる介護施設に対する臨時特例措置について解説します。
【目次】
介護施設、コロナ回復患者の受け入れ
1.介護施設に対するコロナ回復患者の受け入れの臨時特例措置とは
2021年2月16日、新型コロナウイルス感染患者の増大にともない、厚生労働省がコロナ回復患者の受け入れの臨時特例措置を定めました。これは、「新たなコロナ感染患者のための病床数を確保する」「医療従事者の負担を軽減する」などが目的となっています。それでは、コロナ回復患者の受け入れ臨時特例措置とはどのようなものなのか、について見てみましょう。
1-1.最大30日間の退院前連携加算を認める
コロナ回復患者の受け入れを行う介護施設は、「後方支援医療機関」と呼ばれています。病床数を確保するための策として行われる臨時特例措置が、「後方支援医療機関において最大30日間の退院前連携加算を認める」というものです。退院前連携加算は、介護保険施設に1ヵ月以上入所していた人が、在宅復帰後に訪問介護(あるいは訪問看護)や地域密着型サービスなどを利用した際、適用されるものとなっています。こちらは、介護施設とケアマネジメント事業所が連携し、「切れ目なく、居宅サービスが利用できるようにする」などを評価するものです。つまり、この臨時特例措置は、コロナ回復患者を介護施設が受け入れた場合に得ることができる、事実上の「インセンティブ(報奨)」といえるでしょう。
介護施設において、退所前連携加算を1回あたり500単位、最大30日間算定することが可能となります。これによって、受け入れたコロナ回復患者1人につき、最大1万5000単位(15万~16万3500円)の上乗せ請求ができるということです。ただし、「当該介護保険施設から入院した者を除く」という規定があるので注意しましょう。もともと介護施設に入所していた人が新型コロナウイルス感染で入院治療を行い、回復した場合にはこちらの臨時特例措置の利用ができません。
1-2.臨時特例措置が講じられた背景
現状として、新型コロナウイルスの回復患者が転院できず、病床数が不足しています。そのため、2020年12月25日、厚生労働省は介護施設や居住系サービスに対しても、要介護高齢者を受け入れる際には定員超過減算の適用を行わないと発表しました。さらに、新規で要介護認定の申請をしている場合も、必要に応じて認定結果判定前の暫定ケアプラン活用が可能です。
また、重症化する可能性が少ない患者は、宿泊療養や自宅療法、高齢者施設入所中の感染患者も、軽症や医師の診断で入院不要となった場合は、そのまま施設で治療をするといった対策も行われています。こういった対策を行うことで入院患者を絞り、回復患者などの転院促進を行なっています。最終的には、新型コロナウイルス感染で重症・中等症となっている患者に対し、医療提供しやすい体制の確保を目指したい、というのが、臨時特例措置が設置された背景です。
2.介護老人保健施設の約半数がコロナ回復患者を受け入れる意向
全国老人保健施設協会が臨時特例措置について調査した結果によると、1600以上の施設が、コロナ回復患者の受け入れを行う意向を示しています(3月11日現在)。全国には介護施設が約3500あり、受け入れの意向を示している施設は、その半数近くです。4月18日付の新聞では、全国で約1600の施設がすでに受け入れ態勢を整えていることが報じられています。
記事内では、ある老健施設について一例を挙げており、その施設の受け入れ理由が、「入院中に体力・筋力が低下した高齢患者に在宅復帰してほしい」という気持ちからであることを紹介しています。新型コロナウイルスの回復患者からの感染リスクは低いといわれているものの、ほかの入所者が安心して過ごせるように、簡易陰圧装置を備えた個室を用意するといった工夫も行っています。コロナ回復患者の受け入れを行う意向を示す介護施設は増加傾向にありますが、まずは態勢を整える必要があるでしょう。
3.介護施設がコロナ回復患者を受け入れるにあたっての問題点
感染リスクが低い新型コロナウイルスの回復患者とはいえ、ほかの入所者のなかには不安を感じる人がいる可能性もあります。そのため、コロナ回復患者の受け入れにあたっては、新たな設備投資も考慮しなければなりません。隔離までする必要はありませんが、コロナ回復患者専用の簡易陰圧装置などの換気設備を設置した、新たな個室を用意するほうが良いでしょう。
介護施設によっては、コロナ回復患者の受け入れを行うことで、定員を超過するケースもあるかもしれません。そういった場合には、職員を増やすことも検討しなければならないでしょう。また、新型コロナウイルスの回復患者専用の新しい個室を用意する場合、「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」という補助金を受けることも可能です。しかし、改修経費に加えて職員の増員など、当座の出費がネックとなり、コロナ回復患者の受け入れを躊躇している施設も少なくありません。
資金繰りに困ったときは介護ファクタリングサービスの活用を
コロナ回復患者の受け入れには、介護施設の設備拡張、職員の増員などが必要となる場合があります。その際、短期的な資金問題が起こるため、受け入れ自体に躊躇している施設もあるのではないでしょうか。介護施設が借入れ以外の資金調達をする方法としては、介護ファクタリングサービスがあります。「リコーリース」では、担保や保証人不要でファクタリングサービスが利用できるため、必要に応じて相談するのも良いのではないでしょうか。
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