
介護事業経営における個人情報取扱いの重要性

個人情報の保護は、今や企業にとって取り組むべき非常に大きな課題といえるでしょう。昨今でも個人情報の漏洩によって、世間を騒がせた企業の数は数多くあります。介護事業を行うにあたっても、その重要性は変わりません。むしろ、扱う情報のほとんどは個人情報であるだけに、一般の企業よりも徹底した取り組みが求められています。今回は介護業界における個人情報の取り扱いについて、また現在進められている情報公開制度の流れを交えながらご紹介します。
なぜ個人情報保護の観点が重要か?
そもそもなぜ、個人情報保護が大切とされるのでしょうか?まずは、法令順守の問題が挙げられます。個人情報保護は国によって定められた法律の一つですから、守るのは当然のことです。
もう一点は、それに付随した信用になります。法令遵守の精神は当たり前のことですが、一方で個人情報漏洩のニュースは後を絶ちません。こうしたニュースで取り上げられることは、信頼失墜にこそなれ、向上に繋がるはずもありません。個人情報保護の取り組みは、企業イメージをプラスにするものではありません。やっていて当然の取り組みであり、していなければマイナスされる要素ということができます。していない時点で信頼を失う、そのようなものなのです。では、各事業所では、具体的にどのようなプライバシーポリシーが掲げられているのでしょうか?
含まれている内容としては、
- 関係法令の遵守
- 苦情に対する迅速な対応
- 第三者への情報提供を行う際は、本人の同意を得ること
- 個人情報保護に関する取り組みを継続的に改善していくこと
といったあたりに言及していることが多いようです。
誰に向けられた取り組みなのか?
個人情報保護に対する取り組みは、誰に対してのものなのでしょうか?実際の傾向として、認知症高齢者の方や、現在の80代90代の方々は、個人情報保護にそれほどこだわりがない、ということができます。一方で、その子供世代にあたる50~60代、さらにはその下の30~40代までは、個人情報に対する厳しい目を持っています。ですがこれが10~20代になると、SNSでの写真公開などからもわかるように、それほど重要とは捉えていないようです。過ごしてきた時代背景が、このような違いを生んでいるといえそうです。
以上からわかることとして、高齢者介護の現場にいる人々、つまり高齢者と介護に従事する若者たちは個人情報の意識が薄く、そのご家族や事業所の管理者の立場にある人は個人情報保護意識が高い、という傾向が見て取れます。管理者としては、自分や家族の思いと、現場で働いている職員の意識との差にやきもきすることも多いのではないでしょうか?
どんなところから漏洩するのか、対策は?
では介護事業において、個人情報が漏洩するのは、どのようなところからなのでしょうか?介護現場を見てみましょう。情報を閲覧したあと、何気なく棚の上に置かれている記録。あるいは、鍵のかけられていない戸棚。シャットダウンされていないパソコン。それにブログにアップされている写真。もしかすると、職場の飲み会の席で、話をしているかもしれません。
このような杜撰な管理体制は、決して珍しいものではありません。これらの状況を改善するための方策は、まず自分たちが個人情報を扱っている、という意識を植え付けること。そのためには定期的な研修を行う必要があるでしょう。
また、具体的な対策も必要になります。記録類に関しては、すべて個人名が出ないように伏せ字を使う、また職員にだけわかるような記号を用いることでも、情報が漏洩する確率はグッと下がります。パソコンが点きっぱなしで、画面上に情報が出ていた、というケースはスリープ状態になる時間を短くすることで、被害を食い止めることができます。会社のブログに写真をアップする際には、事前の承諾と、必要とあればモザイク処理が欠かせません。
個人情報保護と情報公表
ここまで個人情報の保護について書いてきましたが、現在の企業には、情報公開も求められていることを忘れてはいけません。ただ商品を売ればいい、という時代は終わり、その商品がいかにして作られているか、その背景までが重要になってきています。フェアトレードで生産者から仕入れたコーヒー豆やカカオ豆に大きな価値が生まれる一方で、働く環境が劣悪な、いわゆる「ブラック企業」と認定された企業の評判が大きく下がるといった事例も多々有ります。
厚生労働省自体、情報公開に向けた流れを積極的に推し進めています。「介護サービス情報公表システム」を作成し、国民に向けてどんなサービス、どんな事業所があるのかを開示する試みが、すでに始められています。
介護事業所での高齢者虐待や窃盗などのニュースが、世間を騒がせている昨今。情報公表に積極的な姿勢を持っていることは、利用する人とその家族に安心を与えることとなりますから、是非とも取り組みたいものです。
地域から信頼される企業となるために情報の公表を
介護事業における個人情報保護の重要性と、今後の情報公表にむけた取り組みについて紹介しました。
個人情報保護の取り組みは企業として最低限のものですが、情報公表については積極的に行うことで、企業イメージをアップさせることにつながります。介護で扱う情報の多くは個人情報であり、取り扱いが難しいものですが、上手に利用することで、事業所のポリシーや取り組みを利用者とその家族のみならず、全国民に向けて発信することができます。地域から信頼される企業となるためにも、情報公開は積極的に推し進めたいものです。
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