
認知症への理解を深めるための「認知症基本法」って?

急速に高齢化が進むなかで、認知症の患者についてもこれからどんどん増えていくことが懸念されています。しかも、認知症に関する法整備は整っていないため、早急の法整備が求められているのが現状です。そんななか「認知症基本法」を定める動きがでてきました。ここでは、認知症基本法について、その目的と期待できることを紹介していきます。
「認知症基本法」とは?
高齢化社会が急速に進むなかで、国や自治体がある程度は責任を持って施策や環境づくりを進めてきました。しかし、認知症に関する法整備が整っておらず、なかなか足並みが揃わない状況が続いています。たとえば、認知症に関してどこがどこまで踏み込んで行うのか、どんなことに注意して行うべきものなのかなどを、国や自治体が共通認識を持っていないのです。それによって、認知症本人やその家族が受けるべき援助が適切に受けられていないなどの問題が起きています。
そんななか、2018年の後半に、認知症に関する基本法を定めようという動きが起こりました。基本法というのは、国会の議決が必要な法律である憲法と、具体的な法律である個別法のあいだに位置づけされる親法といわれる法律です。憲法は国が施すべき対策を行う際、必ず守らなければならない最高法規。基本法は憲法にのっとった範囲で国や自治体の施策の基本方針を示したもので、個別法は基本法で示した方針を実現するための具体的な法律をいいます。
たとえば、医療や介護、福祉などに関する法律や介護保険法など認知症にかかわる法律があります。認知症基本法が制定された場合に、これらの法律はこの基本法の範囲内で、内容に沿う形によって適用されるようになるのです。したがって、この基本法の内容によっては介護事業者や介護施設、老人ホームなどの環境が良くも悪くも変わる可能性があるのです。認知症基本法は、認知症に関しての法律上すべての基本方針を示す重要な法律と言えます。
認知症基本法の目的
認知症基本法の目的は、国や自治体が認知症の人やその家族のために何をするのかなどの方向性を示すとともに、認知症の人の人権を守り、偏見をなくすためにあります。認知症を発症すると記憶力や認知力、判断力が低下することから、周りの人から1人の個人として扱われなくなるケースが多々あります。たとえば、今まで自分の財産の管理を行ってきた場合に、認知症になったことで家族からその管理能力を疑われ、やめさせられたり相続問題にも参加できなくなったりすることが実際にあるのです。金銭の問題は本人やその家族の生活にも影響してきますので、致し方ない部分はあります。
しかし、認知症だからといってすべての判断をさせることなく、外出や買い物なども極端に制限させられてしまうケースも少なからずあるのです。また、認知症というのは高齢者が発症するイメージが強いですが、現実には若い世代の人も発症し、仕事場での役職を降ろされたり、ひどい場合にはクビになってしまったりするケースもあります。さらには、認知症というだけでその他の社会的な地位を失い、自分の周りのすべての人間関係が変化してしまうこともあります。認知症の人には大事な話はできないと考える人や、かかわると面倒だという人が残念ながらいるのです。
こうした一方的な偏見や考えは、認知症を発症してしまった人を深く傷つけます。傷つけるだけではなく、認知症の人は周りの人に面倒をかけている、迷惑をかけているという想いから傷ついた自分の気持ちを吐き出せない人がほとんどです。その結果、精神的な病を併発してしまったり、生きる気力さえなくしてしまったりする人が増えてきています。さらに、家族や周囲の人は本人を傷つけるつもりは一切なく、相手のためを思って本人に何もさせないということもあります。
しかし、これらすべては人間の自立や自由を奪う結果となり、その人の人権にかかわる問題です。認知症の人も人権を持った1人の人間であり、他の人と同じように権利や義務を持っています。認知症基本法は、すべての人にこうしたことを知ってもらうという目的もあるのです。
認知症基本法に期待できること
認知症基本法が制定されることによって、認知症に関して国や自治体の足並みがそろうことが期待できます。この法律によって国や自治体がそれぞれ認知症に対してどう関与し、どう責任を負うかを明確にして、社会保障や介護保険における認知症の対策と環境を充実させるのです。基本法というのは親法であることから、これまでの介護保険法や医療や介護、福祉の分野すべてがこの法律に沿った形で適応されるため、しっかりとした法律を作らなければなしません。そうしなければ現場が混乱してしまうからです。
法律は制定することにより、ある意味融通が利かなくなるという部分もあります。認知症本人や家族が受けられるサービスが受けられなくなったり、自治体などがそれぞれの家庭事情などに合った柔軟な対応が出来なくなったりしたら本末転倒です。そのためにも、基本法となるこの法律は、しっかりとした法律にする必要があります。認知症基本法が制定されることによって、認知症に関わる個別法のすべてが本当の意味で認知症本人や、その家族の生活に役立つことが期待されているのです。
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