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介護事業の経営における介護スタッフの育成とメンタルケアの重要性を学ぶ

2015/11/24
介護事業の経営における介護スタッフの育成とメンタルケアの重要性を学ぶ

人は企業の中でももっとも大切な資源といっても過言ではありません。特に人が人をケアする介護業界において、その傾向は顕著であるといえます。しかし現実には、介護業界からの人離れは後を絶ちません。どうすればスタッフを定着させ、質の高いサービスを提供することができるのでしょうか。今回は人材育成をテーマに考えてみます。

人の重要性が顕著な介護業界

どのような企業でも仕事を担う人の存在は欠かせません。働く一人一人の能力の向上が、そのままサービスや商品の質の向上にも繋がります。そのため、どの業界でも人材育成には十分な費用をかけているのが通常です。また、人材教育は、企業の理念を伝える場でもあります。企業がどのような人材を求めているのかを発信し、そうした人材を評価することで、その企業独自のメンタリティが生まれてきます。

介護業界において人の重要性は、より大きなものとなるでしょう。理由は大きく分けて二つあります。一つは、介護という仕事のあり方に関わるもの。介護とは人が人をケアするものですから、人が成長することが直接利用者へのサービスの質向上に繋がること。もう一点は介護業界における離職率が非常に高いことが挙げられます。人の入れ替わりが激しい介護業界では、いかに人と人材を確保するかが事業の根幹に至る重要な課題となっているのです。

成長を評価する土壌が重要

介護で一番の資源は人であり、それをいかに確保するかが重要であることは先に述べました。では、どうすれば人を集めることができるでしょうか。

一つは企業が明確なビジョンを持っていること。どのような企業を目指し社会貢献をしていくか、またどのような人材を求めているかが現場スタッフまで浸透しているかどうかは、重要な要素です。ゴールを明確にすることで、なにを評価すべきかが明らかになります。

もう一点が、今も挙がった評価です。介護の離職率が高い原因の一つとして、モチベーションの低下が指摘されています。モチベーション低下の理由は様々ですが、その一つとして、正当な評価が得られないことがあります。介護の難しい点はサービスの良し悪しがわかりにくいことと、医療職と異なり退院というゴールがないことが挙げられます。「死」という結果しか得られない業界で、どのように働きぶりを評価するかが、企業に問われているといえるでしょう。評価はモチベーションアップに繋がり、離職率の低下に貢献します。育成と評価、これは人事における両輪といえるでしょう。

介護業界の人材育成の実態

介護業界ではどのような教育方法が取られているのでしょうか?もっとも一般的なのがOJTでしょう。具体的な仕事を通じて、必要な知識や技能を学んでいくことを目指すものです。

実際には選択的にこの手法が取られているというより、否応なしにこの方法で行っているところがほとんどではないでしょうか。実務を行いながら学ぶわけですから、仕事と研修の両方を兼ねていることになりますよ。介護業界は慢性的な人不足ですから、新人職員であっても、すぐに現場に入ってできることをしてもらうことになります。結果としてOJTまがいの方法で、いえ十分な教育ともいえない状態で次にステップに進むことが多いと言えるでしょう。また、OJTには明確な目的意識と指導力を持った優れた指導者が不可欠ですが、実際には経験豊富なスタッフは現場を離れていたり、すでに離職していたりすることも多く、上から下への技術の伝達が十分でない現実があります。

成功している人材育成の例

では、スタッフの育成に成功している介護事業者はいないのか、というとそうではありません。ここではその成功例を見ていきましょう。

ある企業は、実務に就く前に徹底的な研修を行うことで知られています。入社後2ヶ月は実務に携わることなく、みっちりと企業の理念や方針を叩き込まれます。その後1ヶ月間の現場研修、試験を経てようやく現場に配属されることになるのです。その後も定期的に試験が行われ、その成果と普段の勤務態度を合わせて評価がなされます。明確なビジョンを持った人材育成がなされている例といえるでしょう。

モチベーション維持の成功例

モチベーションの維持・向上のためには評価が大切だと先に述べました。ここでは人事考課を取り入れた事業所の例を挙げてみます。

介護業界で人を評価するのは難しいもの。特に施設などは定員より入所希望者の数の方が多く、サービスの質で報酬が上下することがありません。結果として金銭的な数字と顧客満足度が比例関係になく、「やってもやらなくても一緒」といった悪しき空気を生んでしまいます。

それを防ぐためには、内部で厳しい評価をすることが求められるでしょう。企業として求めている理想の職員像を描き、それを元に人を評価することで、求める人材を評価し、そうでない人を評価しない環境を作ることに成功している例があります。具体的に給与面での差を設けることで、求める人材はモチベーションが上がり長く仕事を続け、そうでない人は入れ替わっていく、良いサイクルを作ることができるのです。

介護業界における人材育成について見てきました。現在介護の世界では、人の流出が止まらず、残っている人の処遇が悪化する悪循環に陥っている厳しい現状があります。そうした流れを止めるのは、人材の正当な評価があってこそ。人材育成を成功させるためには評価基準を明確にすることが大前提だといえそうです。

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