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介護ビジネス開業への道 (8)老人保健施設編

2014/12/15
介護ビジネス開業への道 (8)老人保健施設編

今回は、施設サービスの老人保健施設について詳しく解説します。通称「老健」と呼ばれ、要介護の利用者がリハビリテーションなどのケアを受けながら、在宅生活への復帰をめざす施設です。
同じ施設サービスの特別養護老人ホーム(通称「特養」)については、前回の介護ビジネス開業への道 (7) 特別養護老人ホーム編でご紹介しています。

介護老人保健施設と各種の施設サービス

介護老人保健施設(老健)は、介護保険制度上の施設サービスで、要介護と認定された人が介護給付で利用できます。利用者は、ケガや病気などで医療機関の治療を受けた後、いずれ在宅生活に戻る前提で入所します。入所中は介護を受けながら生活し、在宅復帰のためのリハビリなどを集中的に受けられます。

介護保険の適用が受けられる施設サービスは、他に2種類あります。前回ご紹介した「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム、特養)は、生活の場であり、人生の「終の棲家」として機能する施設です。基本的に、在宅生活に戻ることは想定されていません。

また、2018年に廃止予定の「介護療養型医療施設」は、医療保険制度に基づく「療養病床」から転換した施設です。介護保険を利用して医療的なサービスを受けることができます。

その他の施設サービスとしては、身寄りがなく経済的な理由などで在宅生活が難しい高齢者が入所する「養護老人ホーム」があります。介護保険は利用せず、自治体の措置としての入所を受け入れる施設です。

老人保健施設の入所期限

老人保健施設では、3ヶ月・6ヶ月などの単位で入所期限を設定し、単位ごとに期限を延長するか判定をおこなう施設もあります。現状では、法的に定められた期限というわけではありませんが、原則として期限を設ける場合など、入所時に利用者や家族へ説明し、理解を得ることが大切です。

在宅に戻っても介護が難しい場合など、実際には長期で入所する高齢者も多くなっています。空きの少ない特別養護老人ホームの順番が回ってくるまで、老人保健施設を利用しながら待つケースも見られます。そのため、「老健の特養化」「第2の特養」と言われることもあります。

ただし、老健は本来「在宅復帰施設」とも呼ばれ、在宅復帰をめざして一時的に滞在できる「中間施設」としての役割を担う存在です。入所期限は、復帰までの目安であることが望ましいでしょう。

また、施設に空きがあればサービスの利用を断れないよう、厚生労働省により定められています。

老人保健施設の開設について

介護保険を利用できる施設サービスを開設するには、都道府県(または指定都市・中核市)の指定および許認可を受けることが必要です。前回の記事でも解説した通り、現在、営利法人の参入は認められていませんが、老人保健施設の場合、医療法人や社会福祉法人に加え、役所が特別に認める組織が参入できることもあります。

老人保健施設の人員基準は、特別養護老人ホームよりも、看護師など医療スタッフが多く必要とされるのが特徴です。施設サービスの中では、もっとも充実した医療系のサービスが求められます。

施設サービスを開業する場合、介護報酬が高めに設定できるのが利点になるでしょう。利用者の在宅復帰を目的とするため、現在は介護報酬に加算しやすい仕組みになっています。

また、老人保健施設は、入所者を受け入れるだけでなく、「訪問看護」や「デイケア・デイサービス」などのサービス拠点になります。利用者の自宅に施設からスタッフを派遣することで、より地域に密着したサービスを提供できます。各サービスの詳細については、 介護ビジネス開業への道 (5)訪問看護編 と介護ビジネス開業への道 (6)デイケアとデイサービス編をご覧下さい。

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