
介護ビジネス開業への道 (12)介護タクシー

今回は、福祉送迎サービスの介護タクシーの業務内容や開業における注意点について詳しく解説します。介護タクシーは、高齢者の通院や施設への送迎をおこなう訪問型のサービスです。地域や業者により「福祉タクシー」や「ケアタクシー」などの名称も使われています。 また、介護保険の適用される「通院等乗降介助」制度のことを、通称「介護タクシー」と呼ぶ場合もありますが、こちらは介助が目的の訪問サービスです。運送事業の介護タクシー(介護保険外)は、福祉に限定された輸送をおこない、一般のタクシーより開業しやすいと言われています。
介護タクシー事業とは?
介護タクシーは旅客運送業で、高齢や身体が不自由などの理由で独力での移動が難しい人に、輸送サービスを提供します。おもな利用対象者は、介護認定を受けた要介護者・要支援者や、障害者認定を受けた身体障害者などです。認定証のない利用者を乗せて運行することは、基本的に認められていません。
介護タクシー事業を始めるには、陸運局に申請して「福祉輸送事業限定」の「一般乗用旅客自動車運送車事業」の許認可を受ける必要があります。 運行車両は、車いすや寝台のまま移動できるよう、専用の「福祉輸送車両」に限定されます。
他にも、次のような条件が定められています。
- 貸し切り自動車であること
- 緑ナンバー・二種免許が必要(※2台目からは白ナンバー・一種免許も可能)
- 乗車定員は11名未満
- 予約制
- 利用者は介護認定(または障害者認定)が必要
一般のタクシー業者が介護タクシーに参入したケースでは、通院や買い物の付き添いをおこなったり、ホームヘルパーなど介護の資格・経験のある乗務員が担当したりと、柔軟なサービスを展開しています。すでに訪問介護や居宅介護支援事業を営む事業所が、他社との差別化を図って介護タクシーに参入するケースも増えています。
「ぶら下がり許可」のしくみ
介護タクシー事業では、1台目は必ず緑ナンバーを取得し、運転者には二種免許が必要です。訪問介護(または居宅介護支援事業)の事業所が、介護タクシーをサービス提供する場合、2台目からは白ナンバー・一種免許での運用が認められています。 ホームヘルパーの自家用車を借り上げ、有償で運送をおこなうことができます。 この特例を「自家用有償運送許可(ぶら下がり許可)」といいます。
なお、運用する車両が5台以上の場合、運行管理者が必要となります。 運行管理者になれるのは、国土交通省の指定による試験機関で「運行管理者試験」に合格した人だけです。
通院等乗降介助について
介護保険の適用される「通院等乗降介助」という訪問サービスのことを、通称「介護タクシー」と呼ぶ場合もありますが、これは送迎の介助がおもな目的です。このサービスの利用時は、介護保険の自己負担分に加えて乗車料金がかかります。乗車料金は保険適用外のため、利用者の10割負担となります。
介護タクシー事業の注意点
介護タクシーの許認可は陸運局で受け付けていますが、行政書士が手続きを代行することができます。 タクシー料金は介護保険が適用されず、利用者の全額負担となります。ただし保険外サービスのため、料金は事業者が自由に設定できます。
現状で介護タクシーのニーズは、通院・通所目的の利用がほとんどです。 そのため、利用が平日の朝と夕方に集中します。一方、日中・夜間や、病院・施設が休みになる日曜・祝日などは、利用が減少して空き時間になることもあります。 リピーターの定期的な利用が多く、事前予約制で、安定した運用が見込めることは事業メリットと言えるでしょう。
しかし、病院や施設が無償で送迎サービスを提供することがあり、こうした競合サービスに対して、介護タクシーの付加価値を高めていけるかが鍵となります。介護タクシーを開業する前に市場調査を徹底し、適切な料金設定と堅実な経営計画を練り上げることが重要です。
リコーリースの介護報酬・障がい福祉ファクタリングは、“負債”扱いにならずに“早期”資金調達ができる介護事業、障がい・福祉事業者向けの金融サービスです。最短5営業日で資金化も可能。サービスの詳細は下記バナーをクリックください。
けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。
Q. 「介護職員等処遇改善加算」のキャリアパス要件等の経過措置は継続されないのでしょうか?「介護職員等処遇改善加算」(以下、新加算)のキャリアパス要件について、2024年度中は年度内対応の誓約でよいと...
日本看護協会は、2026年度予算で在宅など介護サービスに従事する看護職員の確保・定着につなげるための処遇改善などを求める要望書を厚生労働省に提出した。厚労省側は介護報酬の基本報酬と加算の両面で処遇改善に対...
厚生労働省は4日、認知症老人徘徊感知機器など通信機能を備えた福祉用具の通信や受信端末の費用は介護保険の給付対象外とする案を「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」に示し、おおむね了承された(参照)。これ...
東京都は、3年に1回行っている在宅系と施設・居住系の介護事業者を対象にした運営状況調査を2025年度に実施する(参照)。東京都介護現場革新会議は4日、介護現場でのデジタル化の状況などを詳しく把握するため、調査...
東京都は4日、介護人材の確保や定着に向けた2025年度の施策として、23年4月に本格運用が始まった「ケアプランデータ連携システム」の活用促進に向けて、システム利用料や導入を促す取り組みの経費を支援する方針を「...
>>その他サービスを見る
早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。
ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。
車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。
商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。
利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。