
新たな介護保険施設「介護医療院」

少子高齢化による医療介護問題を解決するために、2018年4月から介護医療院が新しく創設されました。介護医療院はこれまで分断されていた医療や介護、生活支援といったさまざまな機能を併せ持つ複合的な役割を持った施設です。介護医療院の登場によって介護や医療業界に与える影響を知っておくことは経営者にとって重要なことでしょう。そこで、この記事では介護医療院の概要や施設基準、療養病床との収入の違いなどについて紹介します。
入所者の『生活』が重視されている介護医療院
介護医療院は介護保険法に基づいて設置される施設ですが、従来からある特別養護老人ホームや介護老人保健施設との違いについてよくわからない人もいるのではないでしょうか。介護医療院の概要を知るうえで重要なのは、介護保険法第8条第29項に記載されている文面です。それによると「療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」と定義されています。
つまり、介護医療院はこれまで別々の施設で行われることの多かった、医療や看護、介護に加えて機能訓練や日常生活の世話まで含めた包括的な施設であることがわかります。また、厚生労働省の資料によると、介護医療院は「医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設」とも定義付けられているのが特徴です。つまり、介護医療院は治療によって在宅復帰を目指す施設ではなく、どちらかというと長期療養を目的とした生活施設だと言えます。
一方、特別養護老人ホームや介護老人保健施設も長期療養型の施設である点は、介護医療院と同様です。ただし、特別養護老人ホームは介護保険法第8条第27項では「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行う施設」とされています。つまり、介護医療院と違って「医療や看護が含まれていない」のです。介護医療院は、特別養護老人ホームに医療や看護の機能を付け加えた施設だといえます。
また、介護老人保健施設は介護保険法第8条第28項では「主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援」と定められています。つまり、基本的には在宅復帰を支援する施設です。長期療養を目的とする介護医療院とはその点で大きく異なります。
介護医療院の施設基準
介護医療院の施設基準を知るうえで、まず大切なのは「1型介護医療院と2型介護医療院」という2つの種類があるのを知っておくことです。基本的に従前の介護療養型医療施設(療養機能強化型)が1型介護医療院に相当し、介護老人保健施設は2型介護医療院と同様の施設であると覚えておけば問題ありません。施設基準については、1型介護医療院と2型介護医療院はともに同じ条件です。基本的には介護療養型医療施設(療養機能強化型)と介護老人保健施設の両方の基準を満たしていることが条件となります。たとえば、機能訓練室は介護療養型医療施設(療養機能強化型)と同じ条件(40平米以上)ですが、レクリエーションルームは介護老人保健施設と同様に「十分な広さ」が必要です。さらに詳しい情報については厚生労働省のホームページに記載されていますので、確認しておきましょう。
介護医療院の創設にあたって気を付けておくべきことは、1型介護医療院と2型介護医療院では施設基準の違いはありませんが、人員基準については一部違うことです。1型介護医療院と2型介護医療院はほとんどの項目で人員基準も同じですが、医師や薬剤師、医師の宿直義務については異なります。たとえば、医師の数については、1型介護医療院では「入居者48人に対して1名」となっていますが、2型介護医療院では「入居者100人に対して1名」です。基本的には1型介護医療院のほうが、人員基準は厳しくなっているので注意しましょう。
「療養病床」と「介護医療院」の収入の違い
介護療養型医療施設から1型介護医療院へ転換した場合、報酬面ではメリットがあります。なぜなら、サービス費の入居者1人あたりの報酬単位が25単位ほどアップするからです。ただし、施設基準のひとつである「入居者1人あたり療養室の床面積8平米」が満たせなければ、-25単位のペナルティがあるので、結果的に差額はゼロ円となります。介護療養型医療施設の基準は6.4平米であるので、転換当初から施設基準を満たすことは実際には難しいかもしれません。ただし「転換の場合、大規模改修まで1人あたり6.4平米でも可」という特例措置があるので、上手く活用しながら経営していくとよいでしょう。
一方、介護療養型老人保健施設から2型介護医療院に転換すると、入居者の要介護度によって損益が変わります。たとえば、要介護1の入居者の場合、介護療養型老人保健施設のサービス費は800単位ですが、2型介護医療院では758単位となって報酬差は-42単位です。ただし、報酬差がマイナスになるのは、要介護2(-30単位)までです。要介護3以上はプラスに転じ、要介護度が上がるにつれて報酬差もアップします。つまり、単純に施設の収入だけを増やす目的であれば、要介護度の高い患者が多いほど良いと言えます。要介護度の高い患者は、日常生活の世話をするためにさまざまなコストがかかりやすいため、費用対効果をよく見定めて検討しましょう。
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