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どうなる定期巡回?2018年介護報酬改定で起こること

2018/02/26
どうなる定期巡回?2018年介護報酬改定で起こること

定期巡回は2012年に導入された訪問系の介護サービスです。事業所数は平成28年12月時点で953カ所です。訪問介護の事業所数は平成28年10月時点で35,013カ所なので、それと比較してもまだまだ普及が進んでいないことが分かります。もっと定期巡回を広めるには利用者の認知度を向上させることも大切ですが、介護報酬が増加して参入する事業所数が増えることも重要です。

では、2018年の介護報酬改定では定期巡回の介護報酬にどのような変化が起こるのでしょうか。

まずはおさらい!定期巡回とは?

正式名称は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」といいます。1日に複数回、短時間の定期巡回訪問・利用者からのコールに応じて行う随時対応・利用者の状態変化に応じて駆けつける随時訪問の3種類を複合したサービスです。看護も必要な利用者に関しては訪問看護も加わります。利用対象者は高齢の要介護認定者です。導入された背景は訪問介護のニーズの変化にあります。要介護高齢者の在宅生活を支えるために訪問介護などの在宅サービスは増加していました。

しかし、定期的に巡回して要介護者を見守る、あるいは急な容態の変化に対応するといった柔軟なサービスはありませんでした。そこで、24時間要介護者の在宅生活を支えるために定期巡回と随時対応を併せた介護サービスが作られたのです。基本報酬は要介護度と事業所の形態、訪問看護の利用の有無によって変わります。要介護度が高いほど介護報酬も高いです。

定期巡回を行う事業所は、訪問介護と訪問看護の両方を行う「一体型事業所」と、訪問看護は提携先の事業所に委託する「連携型事業所」の2種類があります。一体型の場合は利用者が訪問看護も併用すると基本報酬は上がりますが、連携型の場合は外部に委託しているため変化はありません。訪問介護の分の介護報酬は委託先で算定されます。この基本報酬に緊急時の看護サービスの提供、ターミナルケアの評価などにかかる加算、特定のサービスを併用した場合などの減算を含めて介護報酬が決定します。

介護報酬改定で定期巡回が算定しやすくなる?

2018年の介護報酬改定による定期巡回・随時対応型訪問介護看護の変更点は7つあります。事業所の運営に関わる変更は、オペレーターの配置基準の見直し、地域へのサービス提供の推進、介護・医療連携推進会議の見直しの3つです。

定期巡回には利用者からのコールを受けるオペレーターがいます。オペレーターは夜間・早朝のみ介護訪問員などを兼務していたのですが、日中でも兼務できるようになります。サービス提供の推進とは、定期巡回の利用者は事業所の近隣に集中する傾向があったため、近隣の建物以外にも利用者を増やすことが義務付けられるというものです。介護・医療連携推進会議については年4回の開催が必須でしたが、年2回に減らされました。サービス内容の変更点はターミナルケアを充実させることで、ガイドラインに沿って適切なターミナルケアを実施することが求められます。

介護報酬に直接関わる改定は、生活機能向上連携加算の創設、同一建物等居住者にサービス提供する場合の減算の見直し、介護職員処遇改善加算の見直しです。生活機能向上連携加算の創設によって、利用者の生活機能を向上させる取り組みをすれば加算されるようになります。同一建物等居住者にサービスを提供する場合の減算とは、事業所の近隣に住む利用者の介護報酬に減算を課すというものです。これまでは高齢者向けの介護施設に住む利用者に限定されていましたが、他の建物にも適用されるように改定されます。介護職員処遇改善加算については、区分の4と5がなくなります。ただ、これらはもともと取得率が低いことから介護業界全体としてはあまりマイナスとはならないでしょう。

黒字のポイント「生活機能向上連携加算」創設!

今回の改定で追加された介護報酬の加算は、生活機能向上連携加算のみです。この加算が定期巡回の介護報酬を増やすポイントとなります。では、具体的にどのような条件を満たせば生活機能向上連携加算が適用されるのでしょうか。

まず、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が利用者の身体状況などを評価すること、これが条件のひとつです。利用者宅を訪問して直接診断する、もしくはICTなどで間接的に診断することで評価します。そして、もうひとつの条件は、理学療法士等からの助言をもとに生活機能の向上を目的とした「定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画」を作成することです。この2つの条件を満たせば月100単位が加算されます。同一建物等居住者にサービス提供する場合の減算は月600単位ですから、加算額と減算額だけを見るとマイナスのようにも見えますが、適用される人数が違います。生活機能向上連携加算は条件さえ満たせばすべての利用者に適用される一方で、減算は利用者全員に適用されるわけではありません。

要するに、事業所から離れたところに住む利用者が多ければ介護報酬はプラスに、逆に近くに住む利用者ばかりだとマイナスになるということです。

また、今回の改定には隣接している建物以外の利用者を増やすことを義務付けるものがあります。これによって離れたところに住む利用者も増えるため、減算が適用されないケースが増加するでしょう。

つまり、全体を見ると、今回の介護報酬改定によって定期巡回の介護報酬が増える可能性も十分あると言えます。定期巡回を実施している事業所は減算が適用されるケースを増やさずに「生活機能向上連携加算」をきちんと利用することが重要です。

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