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2018年の介護報酬改定を前に!考えておきたいポイント

2017/03/27
2018年の介護報酬改定を前に!考えておきたいポイント

2000年4月より介護保険制度がスタートし、その後数年ごとに介護報酬が改定されてきました。2018年にも介護報酬改定が予定されています。改定の趣旨は、施設ではなく在宅で介護を行うことを目的とする地域包括ケアシステムのさらなる実現です。そのような趣旨で行われる介護報酬改定が、介護事業者へどのような影響をもたらすのか気になるところでしょう。そこで2018年の介護報酬改定についてどのようなことを考えておく必要があるのか解説します。

2015年の介護報酬改定をおさらい

2015年の介護報酬改定は、地域包括ケアシステム構築のため、介護サービスを充実させる目的で行われました。具体的には、比較的重度の要介護者や認知症高齢者が在宅でも支障なく生活できるようにするため、定期巡回、随時対応型訪問介護看護の報酬強化を図っています。これにより、比較的重度の要介護者や認知症高齢者が、これまで住んでいた場所で自分らしく生活できるようになることを想定しています。また知育包括ケアシステムを実現していくためには、介護人材を安定的に確保しなければなりません。そのため、介護職員の待遇を向上させるため、処遇改善加算を大きくする改定がなされました。

一方、厚生労働省が2013年に行った介護事業者に対する経営実態調査結果によると、全体的に収支差率が高いことがわかったのです。他の職種よりも収益性が高いのは問題であるという社会保障審議会などの意見をきっかけに、適正化がはかられています。

2015年の介護報酬の改定率は全体で2.27パーセントのマイナスでした。内訳を見てみると、介護報酬改定の目的である地域包括ケアシステムの構築に関連する事項は、改定率がプラスとなっています。比較的重度の要介護者や認知症高齢者への在宅介護や支援サービスに関する報酬は0.56パーセントとプラスです。介護人材確保による処遇改善加算の改定率は、1.65パーセントのプラスという結果が出ています。これに対して、介護事業者の収支状況の適正化を図るための改定率は、4.48パーセントの大幅マイナスという厳しい結果となっています。

2018年の介護報酬改定変わるポイントをおさえよう

2015年の介護報酬改定の趣旨である地域包括ケアシステムは、2018年の介護報酬改定においても踏襲されています。ただ介護施設から在宅での介護を目指す地域包括ケアシステム構築を実現させるため、さらなる改定に関するポイントが盛り込まれています。

社会保障費用の財源問題から、地域支援事業の推進を図られてきましたが、2020年までに要介護2までの介護者を対象にする案が財務省から出されました。これにより、要介護2までの介護者の訪問介護に関する生活の援助などの費用を介護保険の給付の対象から外し、原則自己負担にするという見解が示されています。それでも対応できない場合は、介護報酬を大幅にマイナス改定することで対応することを示しています。そのため、場合によっては、厳しい介護報酬改定が予想されます。

地域包括ケアシステムのさらなる実現のため、介護人材の確保を図らなければなりません。そのため、介護職員の処遇改善加算の拡大が検討されています。これにより、介護職員の待遇が改善していくことでしょう。

また、2018年の介護報酬改定をきっかけに国は、訪問介護の提供するサービスや採用に関する見直しをして、地域包括ケアシステムを機能させようと考えています。したがって、訪問介護事業者のサービス内容などにも変化が生じるかもしれません。さらに、2018年は、介護報酬だけでなく診療報酬と同時に改定されます。お互いの報酬は連動する形になるので、今回の改定は診療報酬にも影響が出る可能性があります。

楽観視できないからこそ収益事業への参入も視野に

2015年の4月より、要支援者を対象とした予防目的の訪問看護と通所介護のサービスの地域支援事業への移行が開始しました。それに加えて2018年の介護報酬改定に関連し、軽度の要介護者向けの居宅サービスが地域支援事業へ移行される予定です。その結果、要介護2までの人が介護保険を利用できなくなります。

2014年9月、厚生労働省が行った介護給付費実態調査によると要支援1から要介護2までの居宅サービス利用者は全体の約7割強にのぼります。これだけの多くの要介護者のサービス内容を変更し、介護報酬単価が下がって自己負担額も増えたのであれば、介護事業者に対する影響も大です。この介護報酬改定は、各介護事業者の存続の危機と言っても過言ではないでしょう。

今後、介護事業者の経営は、決して楽観視できるものではありません。これまでのやり方を継続していたのでは、経営が成り立たなくなる可能性も出てきます。そのような状況を打破するには、収益事業への参入も視野に入れなければならないでしょう。

社会福祉事業を行える公益法人である社会福祉法人を設立すれば、事業に支障がない限り、収益事業を行うことが可能です。社会福祉法人の所有する不動産を賃貸に出したり、駐車場の経営をしたりして賃料収入を得られます。また施設内に売店を設けて収益を得る方法もあります。ただ、社会福祉法人が行う収益事業として、風俗経営や融資事業は適当ではありません。これらの事業は社会的信用を損ねる恐れがあり、公益法人としてはふさわしくないからです。2018年の介護報酬改定により、介護事業者の経営が厳しくなることが予想されるので、収益事業への参入により対応を図りましょう。

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