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マイナス査定に影響?介護報酬改定と内部留保

2018/03/05
マイナス査定に影響?介護報酬改定と内部留保

経営において外せない概念として「内部留保」があります。内部留保は企業や施設が安全に経営を続けていくために重要な貯蓄です。しかし、介護業界において内部留保がおびやかされる事態が起こっています。介護報酬改定により、内部留保が少なくなるリスクが出てきたのです。内部留保が不足していると、将来的に利用者が施設を利用するハードルが高くなる可能性すらあります。ここでは、介護報酬改定と内部留保の関係性を解説します。

内部留保とは?

内部留保とは、「任意積立金」とも呼ばれており、企業の利益のうち社内に貯えておく資金を指します。企業が利益を上げると、そこから社外流出分を差し引かなくてはいけません。代表的な社外流出は税金です。利益に応じて所得税を支払うのは企業の義務であり、すべての企業は税金を考えながら経営していく必要があります。株主やスポンサーがいる企業なら配当金も社外流出に含まれます。利益が出れば出るほどスポンサーに還元するのが一般的な社会の仕組みです。多くの場合、利益の額だけ配当金も高くなります。

また、役員賞与も社外流出に含まれます。純利益からこうした社外流出が引かれたうえで、手元に残る金額が内部留保です。営利団体である以上は内部留保がなければ長期的な経営ができません。そのため、内部留保の確保は経営者にとって重要な問題です。当然、介護施設にも内部留保は発生します。介護施設は利用料によって経営を賄っていますが、売上から人件費などの経費、社外流出を除いた部分が内部留保です。

ただし、日本の企業は欧米に比べると内部留保が大きくなる傾向があります。内部留保にまわすだけでなく、利益はしっかりと従業員へと還元すべきという意見もあり、内部留保が必ずしも企業の最優先事項とは言い切れません。実際、過剰な内部留保が問題になることも多く、利益の使い道は企業にとっての大きな課題です。特に、介護現場のように従業員の負担が多い職場では多額の内部留保への反感もふくらみがちです。

内部留保はなぜ必要?

内部留保のあり方についてはさまざまな意見がとびかっていますが、内部留保そのものは企業や施設にとってなくてはならない存在です。施設を拡大するためには一定の内部留保が必要になります。たとえば、長期的な経営を目指す介護施設は一定期間ごとに施設を広げるのは必須でしょう。高齢化社会の到来により、介護施設の重要性はますます高まっていきます。利用者が増えるにしたがって、施設もより多くの利用者を受け入れるための設備を持たなくてはいけません。将来的な改装工事、支部の設立に向けて内部留保は重要なのです。

また、世間への信用を高めるためにも内部留保は大切です。介護施設を選ぶ際、利用者は安全に末長く世話をしてもらえる場所を探しています。もしも途中で経営が破綻したり、サービスが悪くなったりするような施設なら利用者は離れてしまうでしょう。一定水準のサービスを維持しつつ、常に介護施設が成長していくためには経済的な余裕がないと困難です。余裕を持って介護施設を運営していくために内部留保は多いに越したことはありません。

また、融資を受けるためにも多額の内部留保は役立ちます。金融機関が融資を審査するとき、施設の将来性は細かく分析されます。「貯えが多い」という事実は、将来性を証明するための絶好の要素です。内部留保が充分にあると融資を引き出す決め手になりえます。内部留保は介護施設の存続のために、経営者が注意しておくべき課題です。

介護報酬改定でマイナスに?内部留保と介護報酬の関係性とは

内部留保の額は施設の純利益と大きな関係があります。そのため、介護報酬改定は多くの介護施設の内部留保に影響を与えるでしょう。改定によって介護報酬はマイナス2.27パーセントに引き下げられました。改定の背景には、ある介護施設が過剰な内部留保を行っていたことが問題になった事件があります。たしかに、内部留保を優先しすぎて利用者の生活を圧迫していたのは良くない事態です。そして、介護報酬改定によって施設の利用料が下がるなど、利用者にとってはさまざまなメリットが一時的に生じるでしょう。しかし、施設側からすると純利益が少なくなるぶん、内部留保も少なくなるという問題に直面します。

そして、内部留保の減額が介護業界全体に悪影響を及ぼす可能性についてもささやかれるようになりました。たとえば、内部留保が少ないと介護施設は経営拡大ができません。そのため、新たに施設を設立する機会が遠のき、むしろ全国的に介護施設の数が少なくなるという現象が起きます。高齢化社会によって介護施設が必要な人は増えるのに、施設の数が足りなくなっていくのです。すると、最終的には施設の利用料が値上がりし、利用者にとって悩ましい状況が訪れます。介護報酬改定にはマイナスの要素も含まれていると言えるでしょう。

これからの時代、介護施設は訪問介護を増やすなどして新たに利益を増やしていくのが必須です。そして十分な内部留保を確保して利用者の需要に応えていけるかがポイントでしょう。

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