
介護報酬改定から読み取る2025年問題とその対策

長年にわたって日本は高齢化という大きな社会問題に悩まされてきましたが、2025年にはそれがひとつのピークを迎えます。いわゆる2025年問題です。そして、その対策として2018年には大がかりな介護報酬改定が行われます。しかし、その内容を正しく理解している人は意外に少ないのではないでしょうか。そこで、まず2025年問題とはどのようなものかを説明しつつ、介護報酬改定の内容やその狙いなどについて解説をしていきます。
2025年・・・約800万人の団塊の世代が後期高齢者に
1947年から1949年にかけて、日本では第一次ベビーブームが巻き起こりました。今まで例がないほどに短期間で多くの子どもが生まれたことから団塊の世代と呼ばれ、その後、日本の高度経済成長にも大きな役割を果たすことになります。しかし、2025年にはこの世代が後期高齢者と呼ばれる年齢に達するのです。その数は約800万人という、いまだかつてないボリュームです。その結果、2015年の国勢調査では1613万人だった後期高齢者の数は約2200万人まで跳ね上がることになります。人口の約2割が後期高齢者になるわけです。ちなみに、その頃には65歳から74歳を含めた高齢者全体の数も日本人口の3分の1を占めるようになっています。
こうなると、問題になるのは介護の在り方です。高齢者、特に後期高齢者の数が増えてくると、当然介護を必要とする人の数も増えてきます。例えば、2012年の時点では認知症患者の数は65歳以上の約15%にあたる462万人でしたが、2025年には700万人に達すると推測されています。認知症以外にも肉体的衰えから介護が必要な人数を含めれば、日本人口の1割が何らかの形で介護が必要になる可能性すら出てくるのです。
日本は世界でも類を見ないほどに充実した医療と介護の保険制度を確立してきましたが、ここまで極端な高齢社会になると、それもいずれ限界に達してしまうでしょう。それを避けるには早急に介護や保険の見直しを行う必要があります。そのタイムリミットと言われているのが2025年であり、すなわち2025年問題であるというわけです。
2018年は2025年問題の解決に向けた最後の大改定
政府は介護保険制度に対して6年ごとの見直しを原則としてきました。そして、2006年には地域密着型の介護と要介護者とならないための予防を重視する姿勢を打ち出し、2012年には地域包括ケアという概念を提唱しました。ところが、2015年には6年サイクルを短縮して異例の改正が行われたのです。その内容は国家の介護予算の削減を狙ったもので、それだけ介護保険財政がひっ迫していることを示しています。
具体的な改正内容は「特別養護老人ホームへの入居条件を要介護レベル3以上に限定」、「年収280万円以上の高齢者の医療負担額を1割から2割に引き上げ」、「症状の軽い要支援1と2の介護予防サービスを国から市町村への移行」の3点です。これだけでも結構な大ナタを振るった形となっていますが、これは2018年の介護報酬改定の布石にすぎないと言われています。
そこで、2018年の改定内容を現在判明している範囲で説明をしていきます。まずひとつは、介護予防サービスの市町村への移行を要介護2まで拡大することです。また、2015年に介護負担が2割になった人の中で、特に所得の高い人が3割負担となります。ただ、超高齢社会に対する政府の対策は財政の削減だけではありません。他にも、長期治療と長期介護が同時に必要になりがちな高齢者のために、その両方の機能を兼ね備えた介護医療医院の設立が予定されています。
さらに、今まで料金がバラバラだった福祉用具のレンタルを適正価格で行えるように、福祉用具貸与価格の見直しを行う予定です。ただ、2018年の介護報酬改定に関してはまだまだ未定の部分も多く、2025年問題解決に向けての最後の大改訂としてどのような形になるかはこれからの議論となります。
介護報酬改定の方向性から読み取る・・・政府の人材不足対策
日本の介護問題を考える際、財源確保の他にもうひとつ大きな問題があります。介護を行う人材の確保をいかにして行うかです。ただ、介護者の数は決して増えていないわけではありません。例えば、介護福祉士の登録者の数は2003年には35万人余りだったのし対し、10年後の2013年には120万を近くに達しており、3倍以上の伸びを示しています。しかし、要介護者の数はそれを上回るペースで増加しており、人手不足は年を追うごとに深刻になっています。そして、このまま手をこまねいていると問題の2025年には38万人もの人材が不足すると言われているのです。
この対策として2018年より介護者の報酬を月平均で1万円相当アップすることが閣議決定されました。しかも、これは職員一律で給与を上げるのではなく、経験の長さやキャリアアップに応じて給料が上がる仕組みになっています。これには、介護サービスの種類によって一律に給与が決められていた今までの体制と比べ、モチベーションを高めるという狙いもあります。それによって、単に介護分野の就職者を増やすだけではなく、同時に離職者を減らそうともしているわけです。しかし、それだけで急速に増え続ける要介護者に対応できるかというと、実際には難しい面があります。
そこで、政府が打ち出しているのは「ときどき入院、ほぼ在宅」という施策です。これは寝たきり老人の数を減らすことに力を入れることで、限られた人材でも介護サービスの質を維持していこうというものです。さらに、人材不足の別角度からのアプローチとして、介護ロボットを導入した施設には補助金を投入する案も検討されています。深刻な人材不足に対してどのような形で解決の道筋を示すのか、非常に注目されるところです。
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