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介護報酬改定の影響を振り返って今後の事業運営に活かそう!

2017/03/21
介護報酬改定の影響を振り返って今後の事業運営に活かそう!

厚生労働省が2000年から3年に1度の割合で実施している介護報酬改定。介護報酬とは、介護に関する事業所、施設を経営している事業者が、その介護サービスを提供することによって、サービスを受けている介護者、およびその保護者が対価として支払う金額から得られる報酬のことです。2025年には団塊の世代といわれた世代が後期高齢者になることで、ますます介護に関する世の中の比重が高くなる昨今、介護報酬改定は大いに注目されています。今までの介護報酬改定の影響、そして今後の影響の予想を紹介します。

2015年の介護報酬改定の影響は?

2015年に実施された介護報酬改定の影響を説明します。2000年に介護報酬改定が実施されてから5回目となる2015年、それ以前から介護業界では慢性的な人手不足、職員1人に対し多すぎる仕事量に対し、それに見合わない介護報酬が問題視されており、2015年の1月から4月にかけて多くの介護事業所、施設が倒産する憂き目にあっています。

さらに2015年の介護報酬改定では、全体的な大幅な報酬引き下げが発表されました。介護職員の処遇改善がプラス1.65%、認知症などの高齢者、中、重度の要介護者へのサービス対応に対する処遇改善がプラス0.56%で、それらの加算分を引いても、全体で2.27%、実質的には全体で4.48%のサービス単価引き下げという結果になり、マイナス改定となるのは9年ぶりでした。

この年の改定は3つのポイントがあり、ひとつ目は「認知症高齢者や、中、重度の要介護者への対応を以前より強化する」、2つ目は「介護サービス評価がされているか見直し、サービス提供が効率的に行われているかサービス体制を構築する」、3つ目は「事業所、施設の人材不足の解消、人材育成の推進」の3つがポイントとして挙げられ、介護報酬やその基準の見直し、再構築が行われた結果となりました。

2015年は、全体的な報酬単価の引き下げというこの改正の影響により、介護事業所、施設の倒産がより多く発生し、特に小規模な訪問介護に特化した事業所、デイサービスなど、資本力の弱い新規の事業所や施設が業績不振に追い込まれました。資本力が弱い事業所は、一度業績不振になると、再び持ち直すことが難しく、結果、小規模な事業所の倒産件数が増加することとなった年でした。

職員の処遇改善が経営安定のカギ

介護現場の慢性化する人手不足、報酬の引き下げに対する改善策はあるのでしょうか。改善策としては、事業者が職場の問題点を改善し「介護職員処遇改善加算」を国に申請し、労働に見合った報酬を職員に提供することです。介護職員処遇改善加算とは、設定された介護報酬の金額をさらに上乗せしてもらえるという制度です。事業者が、自らの職場で働く職員へ待遇改善を行っているという届けを出して、国が事業者に対し本当に改善を推進しているかを審査します。審査をクリアしたら、その上乗せされた金額を使って、職員の給料は増額されるという仕組みです。

介護報酬が加算されるためには、いつかの条件をクリアしなくてはいけません。職場のそれぞれの仕事内容、役職や仕事内容によって給料の金額がしっかりと設定されているか、それらが書面になって職場の人々が把握しているか、そして、事業者が会社の研修などで職員のキャリアアップを後押ししているか、などが挙げられます。そしてバイト、派遣が正社員になるための方法があるか、家庭がある職員への育児休暇などのケア、職場のトラブルへの対応マニュアルの作成などはしっかりとできているか、などが条件に入ります。事業者が会社の改善をするための努力をしているかを国が審査し、条件をクリアしたら、晴れて介護職員処遇改善加算が事業者に実施されます。

2025年以降を睨んだ業務見直しを

厚生労働省によると、2025年には後期高齢者の増加により介護職員が約253万人必要と予想されていますが、その予想数に対し実際に見込まれる介護職員は約215万人。約38万人の介護職員が不足すると予想されています。介護業界の人間は2025年に向けてさらなる準備をしなくてはいけません。では具体的に将来に向けてどのような対策をすればいいのでしょうか。厚生労働省は対策としては3つのポイントを挙げています。

ひとつ目は「介護業界への新規参入の促進」です。介護専門学校への学生の入学を促進、支援し、学校卒業後は介護の会社への就職を想定して学費の貸付を行います。介護の仕事を5年間継続すれば学費返済は免除されるという仕組みです。また介護ボランティアを行っている全国の人材を介護業界参入へ促します。2つ目は「離職した介護職員経験者の呼び戻し」です。一度離職した人へ介護業界の再就職のための必要な金額を貸付し、1年以上仕事を継続すれば、貸付金返済を免除できるという制度を実施します。3つ目は「離職を阻止して介護業界への定着を促進すること」です。人手不足のため1人で必要以上の仕事量を強いられる介護業界。職場の環境を改善することにより、人材の定着率を高めることです。前述した介護職員処遇改善加算の導入も、人材定着のための制度です。これら厚生労働省が掲げる3つのポイントが、将来の介護社会を生き抜くための鍵となります。

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