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介護報酬改定で施設経営に苦悩…収益改善に向けた行動は待ったなし!

2016/11/07
介護報酬改定で施設経営に苦悩…収益改善に向けた行動は待ったなし!

2015年の介護報酬改定では、全体でマイナス2.27%の引き下げが実施されました。それによって多くの事業所は、経営方針の変更や収益改善に向けた取り組みを行う必要性に迫られています。介護保険施設を経営する社会福祉法人もその例外ではありません。次回の2018年の改定では、施設にとって更なる逆風が吹くことも予想されます。安定した収益を上げるために、今後どのような取り組みが必要なのでしょうか。

介護報酬改定は施設経営にマイナスの効果

最初に2015年に行われた介護報酬改定についておさらいしておきましょう。2015年の介護報酬改定では、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応強化と介護の人材確保、それに看取り期まで自宅での生活を継続するための、地域包括ケアシステムの推進が骨子となっています。具体的な変更点としては、施設では要介護3以上の人しか入所受け入れができなくなり、介護職員処遇改善加算に新たに1段階が追加されました。またリハビリテーションに関する加算が充実しています。施設介護に関することでは、看取り体制加算が上乗せされています。その一方で基本報酬自体は平均して6%の減算となっていますから、これまでと同じケアを行っていては、大きな減収となることは避けられません。

今回の改定では、基本報酬の引き下げと加算部分の増加が同時に行われています。現在の介護保険財政を考えると、今後もこの傾向が続くことが予想されます。つまり加算対象条件を満たすような重度の要介護者の受け入れや、適切な介護人材の育成が行われない施設は、これからますます厳しい状況に陥ることが予測されるでしょう。

小規模事業者は特に苦しいケースも

現在の介護報酬改定の流れは、小規模事業者が特に苦しい状況に陥りやすいといわれています。事業規模が小さいほど、一つの事業に依存している度合いは高いはずで、その事業で同じだけのサービスを提供していても減収となってしまうのですから、苦しくなるのは当然ともいえます。

先ほども述べた通り現在の介護報酬改定の流れは、付加価値のあるサービスに対して評価を高める点に特徴があります。もちろんその方向性は、国の定める介護保険のあり方と密接に関わりのあるものでなければなりません。独自性を出そうとして、低介護者のみを受け入れる施設を作ったとしても、特色を出すことに成功したとしても利益を上げるのは難しいのです。重介護者を受け入れつつ、人材育成も並行して行う。言葉にするのは簡単ですが、実現するにはそれなりの準備と企業体力が必要不可欠です。この点から見ても、小規模事業者にとっては苦しい状況が続くといえるのではないでしょうか。

今後小規模事業者が安定した利益を上げようと思えば、介護報酬改定の流れを事前に読み取り、早め早めに行動に移すことが求められるはずです。

2018年には再び介護報酬改定が!今こそ事業見直しを!

それでは、2018年の介護報酬改定はどのように予想されるでしょうか。その潮流を読み解くためのポイントは、診療報酬にあります。2016年に行われた診療報酬の次回改定は2018年。つまり2018年の改定は介護報酬と診療報酬の両方が同時改定される、6年に1度のタイミングなのです。まずはこの点をしっかりと抑えておきましょう。

それでは、2018年の改定はどのようなものになるのでしょうか。基本的には2015年の改定から続く、中重度の要介護者への対応強化、地域包括ケアシステムの推進といった方向性は変わらないはずです。現在も進んでいる施設から在宅へのシフトチェンジは、今後もますます進んでいくのは間違いありません。また、介護士の人材育成や人員の確保といった長年の問題も解消されていませんから、こちらの対策も併せて行われるはずです。

基本報酬に関してですが、こちらは減算となることがほぼ確実といわれています。その一方で利用者への負担増も検討されています。現在の一定以上の所得がある人の2割負担が、すべての人に適用されるのではともささやかれており、利用者にとっては「値段が上がったのにサービスの質が変わらない」と感じるきっかけともなりかねません。

2015年には制度施行以来過去最多の76件の介護事業者が倒産しました。この数字は2018年以降ますます増えることが予想されています。2018年の介護報酬改定で、多くの事業所はこれまで以上に難しい舵取りを迫られることになるでしょう。

2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者(75歳以上)になります。2025年を境に要介護者は爆発的に増大し、介護・医療ニーズはこれまでにない高まりを見せるといわれています。反面、社会保障財政を逼迫することは明白で、いかに社会保障費を抑えるかが、喫緊の課題といえるでしょう。今後の介護保険の流れもこのポイントを見失わないようにしておけば、自然と読み取ることが可能ではないでしょうか。

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