
介護事業者としての介護福祉士の資格と人材確保

介護事業を行うにあたって、欠かせない存在である介護士。その中でも特に、介護福祉士の有資格者は大きな役割を果たしています。では、事業者の立場からすると、介護福祉士にはどのような役割があり、どのような責務を担ってもらうのが望ましいのでしょうか?事業経営者から見る介護福祉士について紹介します。
介護福祉士の選任と配置義務について
まずは、2016年4月現在の介護福祉士についておさらいしておきましょう。2016年1月時点では、介護福祉士は実務経験3年以上を得て国家試験に合格する、もしくは指定の介護福祉士養成施設(専門学校等)を卒業することで得ることができる資格です。平成28年度第29回介護福祉士国家試験から、実務経験による受験資格が変更になります。これについては後述しましょう。
現在介護福祉士の登録者数は、平成28年2月末の時点で1,399,944名を数えます。こう見ると非常に多いように感じますが、資格を有していても働いていない人、現場で働くのではなく管理者となっている人も数多く、実際に介護士として働いている有資格者はこれよりもかなり少ない数字になるでしょう。
また、意外に思われるかもしれませんが、現在人員配置において介護福祉士は必置の要件とはなっていません。
例えば訪問介護事業所の例を見てみましょう。必置の職種はサービス提供責任者が常勤で1名以上、訪問介護員が常勤換算で2.5名以上となっています。ですがどちらの職種も、介護福祉士でなくともその下位資格である実務者研修もしくは初任者研修修了者であれば、勤めることが可能です。とはいえ、介護福祉士を一定数以上配置することによって、加算を取ることができますし、今後ますます介護の専門化は進んで行くことが予想されますから、介護福祉士の重要性が低くなっているとは考えないほうがよいでしょう。
介護福祉士の育成と資格制度改正の変遷
介護福祉士の資格を取得するための条件は、これまでに何度か変更されてきました。ここでは、その制度改正の変遷をみていくことにしましょう。これまでにあった大きな変更点では、2012年度にあった、ヘルパー資格と介護職員基礎研修の廃止でしょう。これらの資格が廃止された代わりに、新たに介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修が設けられました。一番の目的は介護人材のキャリアパスを明確にし、長く介護業界で勤められる仕組みを創出することといわれています。
それに伴い、介護福祉士の受験資格も変更が加えられます。2016年度から実務経験3年だけでは受験資格が得られなくなり、実務者研修の修了が義務付けられることになりました。また、今後は介護福祉士の上位資格として、認定介護福祉士(仮称)を設けることが検討されています。
これによって、介護士のキャリアパスは、初任者研修→実務者研修→介護福祉士→認定介護福祉士といった流れができました。これによって、より専門性が高まること、介護業界で長く働ける環境が創出されることなどが期待されています。
介護福祉士が担う役割と展望
介護現場では、介護福祉士の担う役割は非常に大きなものです。その役割は大きくわけて、実践と教育、そして伝達の3つにわけられるでしょう。介護福祉士有資格者も、他の介護士と同様に現場で働くスタッフの一人。ケアの現場でどのようなことが起こっているか、常に感覚を敏感にして、些細な変化に気づくことが求められています。また、利用者ごとの特性を把握し、その人に合わせたケアを提案、提供することで、その人の生活の質(QOL)を向上させることも、介護士として大切な目的の一つでしょう。
これらの責務や目的に向けたケアを、リーダーシップを発揮してチームを導いていく役割を担うのが、介護福祉士の役割だといえるのです。そのためには専門的な知識と技術が欠かせません。知識や技術を自分で持っているだけでは、介護福祉士としての役割を十分に果たしているとはみなされません。それらを同じチームの構成者、つまり資格を持たない介護士や隣接分野である看護師に伝え、共有していくことが必要です。教育的役割を担うことも、介護福祉士として求められる役割でしょう。
介護福祉士が有する知識や技術を必要とするのは、スタッフだけではありません。利用者を常日頃介護しているご家族も、そのような専門知識を求めています。直接技術を伝えるだけでなく、家族のレスパイトケアを行うことで、心理的な余裕を作り、自身の介護のあり方を見直す機会を作るといった、間接的な伝達法もあります。
今後の介護の業界で、ますます大きな役割を果たすことが期待される介護福祉士。最初に述べたように、介護福祉士の数自体は決して少なくありません。ですが、実際に現場でその役割を果たしている有資格者はといえば、ごく一部に限られるのが現実です。今後は、介護福祉士が現場で専門性を遺憾なく発揮できるような、環境づくりが政府主導で推し進められるとともに、有資格者自身の意識や向上心も問われることになっていくでしょう。
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