
これからの介護現場に求められるのは「IoT」の導入!その理由とは

少子高齢化が進む日本の高齢化率はさらに高まると考えられており、将来的には高齢者の割合は日本の人口の3分の1を超えると予測されています。それに伴って介護問題も今後はますます深刻になっていくと考えられています。すると、介護する側とされる側の双方にとって負担が大きくなることでしょう。そこで注目されているのが介護現場で活用されるIoTです。この記事ではIoTの実際の活用事例やメリットについて紹介します。
IoTとは?介護現場での活用事例
IoTとは、「Internet of Things」のことで、直訳すると「もののインターネット」です。これまでインターネットはパソコンを通じて人間が活用する道具として使われていました。しかし、Wi-Fi技術やAIの進化といったテクノロジーの進歩によって、機械にインターネット接続技術を組み込んで、それを活用することが可能になってきたのです。機械とインターネットをつなぐことで、さまざまな業務がこれまでよりも少ない労力で行うことができきるようになりました。それは介護現場でも同様です。
実際に介護現場で活用されている事例としては、「見守り業務」が挙げられます。ベッドにセンサーを設置すれば、利用者の寝起きを簡単に管理できます。そうすれば、夜中の巡回をする必要はありません。具体的にはモニタリングにIoTを導入して利用者の誰がベッドに寝ていないかをスタッフのスマートフォンに通知する仕組みとなっています。ベッドのマットレスに敷いて利用者の存在を感知するセンサーを取り入れれば、プライバシーなどの観点で利用者に不快な思いをさせることもありません。これまでどおりの生活をして、IoTを組み込んだベッドの上で寝起きするだけでスタッフが持つ端末に通知が来るようになります。
見守り業務にIoTを導入すれば簡単に夜間の徘徊などを監視することができるうえ、トラブルを未然に防ぐことができます。実際に導入した施設のなかには、夜中に鳴る呼び出しコールの回数がおよそ4分の1まで減少したケースもあります。なぜなら、コールが鳴る前にスタッフが徘徊に気づけるようになったからです。IoTを導入することで業務の効率化が図れるとともに、生産性の向上も期待できます。
メリット1:人手不足の解消
IoT技術はすでに一部の家電製品などに導入されています。たとえば、家電製品の消費電力を可視化して、光熱費を削減するスマートハウスが挙げられます。それに対して、介護事業はインターネットに対する知識がそれほど深くない「高齢者を支えていく事業」であるためか、IoTの普及が遅れている分野です。これは裏を返せば、IoTを導入して生産性を高めていける余地が十分に残されている分野だともいえるでしょう。よく誤解されがちですが、見守り事業の活用例のようにIoT技術はプライバシーを守りながら活用することも可能です。利用者の情報を得てネットワークへ送信する必要はありますが、それが必ずしもプライバシーを侵害するものではありません。
IoTを活用すれば、これまでは人間が行わなければならなかった業務の効率性を高めて、少ない人数で業務を行っていくことができます。また、介護業務の中には、高齢者の移動を介助するときなど、力が必要になる場面も少なくありません。特に女性介護士にとっては移動の介助は大きな負担になることもあるでしょう。しかし、介護ロボットのなかには高齢者の移動を補助するものも作られるようになっており、介護者の負担を軽減することが期待されています。IoTは文字通り「介護者の目と手」に成り代わってくれるのです。高齢化とともに少子化の進む日本では介護職員の確保が難しくなってきています。そうした人手不足の問題を解決する方法の1つとしてもIoTは期待されているのです。
メリット2:QOLの向上
質の良い介護を行うためには「QOL(クオリティオブライフ)」を高めることが重要です。生きていくための最低限の介護ではなく、いかにして「よりよい生活を送ってもらうか」を追求することは介護事業を行う事業者の使命だといえます。IoTを駆使したQOLに関係する介護機器として「DFree」が挙げられます。DFreeはベルト状で腰に巻き付けるように装着すれば内蔵の動きをモニタリングしてくれて、排せつをする10分前に通知してくれる機器です。高齢者にとって排せつ失敗は非常に屈辱的な問題であり、著しくQOLを低下させる要因となります。また、介護する側にとっても排せつ物の処理は大変な作業となりますので、双方にとってメリットのある機器だといえるでしょう。
また、一定の介護が保証されている施設介護と違い、在宅介護を行うときはさらに介護の効率性が求められます。在宅介護に適したIoTの介護機器としては「歩行アシストカート」があります。歩行アシストカートは利用者の歩行状況はもちろん、異常を検知したらすぐにセンサーが教えてくれる優れものです。高齢者のなかには少しぐらい足腰が弱っても買い物などの外出に出かけたがる人は少なくありません。しかし、心配だからといって過度に外出を制限するとQOLの低下につながります。異常検知機能を搭載した歩行アシストカートを利用することで、外出先での見守りも簡単にできるようになりQOLの向上につながるのです。
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