
介護サービス事業者なら知っておきたい!実地指導の頻度とは?

都道府県および市町村の担当者が介護サービス事業所へ出向き、法令に遵守した適正なケアマネジメントが行われているかを確認するのが実地指導です。原則として介護保険施設に対しては2年に1度、介護サービス事業者に対しては3年に1度行われます。ここではより詳しく「どのような実地調査がなされているのか」「地域によって実地調査の回数に差があるのか」「実地調査の結果が思わしくなかった場合どのような罰則が適用されるのか」についてご説明します。
介護事業所への実地指導の種類
新たに開設された施設や入所定員を増やした施設を中心に個別の事業所ごとに行う実地指導は一般指導と呼ばれ、複数の事務所を一つの場所に集めて行う集団指導と対比されます。一般指導では帳簿書類の提示や高齢者虐待防止のための運営上の指導がなされ、集団指導では、指定・更新事務等の制度説明や介護保険法の趣旨・目的の周知など広く情報提供がなされます。そのほか、不正や法令違反が発覚したにもかかわらず長期間改善されない場合に実施されるのは特別指導です。2005年度までは人員の配置状況などを書面で審査する書面審査がありました。しかし、取り組み実績が少なく、一般指導、集団指導との連続性が不十分なことから2006年度の指導・監査指針で廃止されました。
実地調査の2つの側面は運営指導と報酬請求指導です。運営指導では利用者の生活実態を確認し、尊厳のある生活を送れるようにサービスの質の向上に向けた指導がなされます。また、個別のケアプランを作成し、「運営指導マニュアル」を用いた指導を実施し、虐待や身体拘束の疑われる利用者がいれば把握して実態を調査します。一方、報酬請求指導では各種加算等について必要な体制が確保されているかをヒアリングして、書類などの記録を精査します。もし不正請求がなされている場合には是正のための指導が行われるので、そうしたことのないように注意したいところです。
通知を受けたら、どのような実地指導に関するものなのかをしっかり確認しておきましょう。
指導を受ける頻度は地域によって異なる!?
実地指導の実施回数に全国的な規定は設けられておらず、各自治体が効率的かつ効果的に指導を行えるようになっています。このため、2年に1度、3年に1度といったペースではなく、場合によっては毎年実施されることもあるのです。特に近年では高齢者が介護者の虐待によって死亡するケースが増えてきているため、実地調査の強化も図られています。
しかし、実地回数は地域ごとに差があるのが実情です。厚生労働省老健局は、事務所の指定更新期間中に少なくとも1回は実施することが好ましいとしています。介護サービス事業における指定更新期間とは6年なので、少なくとも5~6年に1度の頻度で実地指導がなされると考えておいた方が良いでしょう。更新の前後で実地指導がなされるケースや指定後1年以内に行われるケースが多い傾向にあるため、更新の前後には特に注意してください。
これまでは実地指導の回数が少なかった地域の介護事業主も油断はできません。2016年3月に厚生労働省老健局が都道府県などの地方公共団体に回数を増やすよう呼びかけているので、今後実地調査のペースが上がっていくことも想定されるからです。特に問題のなかった介護事業者に対して続けざまに実地指導が行われる可能性は低いですが、常に法令を遵守した事業運営を心がけてください。
適正な運営をしていないと最悪行政処分が下ることも
実地指導は介護サービス事業者の育成・支援を目的として行われるもので、介護サービスの質を向上させるために必要なものです。不正な処分を科す手続きではないので、適正な運営をしていれば何の心配もいりません。しかし、明らかな基準違反があり、利用者などの生命または身体に危害を及ぼすおそれがあると認められると指導監査へと移行します。そして監査の結果、発見された問題が悪質だと判断されると行政処分を受ける可能性があります。
行政処分には改善勧告、改善命令、指定の効力の全部または一部の停止、指定の取り消しがあり、段階的により重い処分が課される仕組みになっています。一般社団法人介護事業支援会によると、2000年~2012年までの間に実地指導の結果、指定取り消しという重い行政処分を受けた介護事業者は1,022件です。取り消される事由としては、介護給付費の不正請求や不正の手段を用いた指定などが多い傾向にあります。さらに行政処分が下されると、官報や地方公共団体のホームページなどに事業所名が公示される可能性があります。社会的な信頼が失墜してしまうので、行政処分がなされる前に再度法令に適合しているかなどを見直しておきたいところです。地域によって差があるものの、実地調査が実施されることは2~3週間ほど前に書面で通知されます。
忙しく業務に追われていると十分な準備期間があるとは言い難いでしょうが、必要な処理を用意して、ヒアリング例などを確認しておくだけでも余裕を持った対応が可能となるはずです。
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