
介護のパラダイムシフト!自立支援介護の考え方

2018年度の介護報酬改正は、介護のパラダイムシフトともいうべきものとなりました。介護の目指すべき方向性が「自立支援介護」へと大きく転換したことで、各方面に賛否両論の議論を巻き起こしています。すでに介護事業に関わっている人はもちろん、これから介護事業での独立を考えている人にとっても、その内容を把握して適切な対策を講じることが重要になってくるでしょう。
ここでは、本改正の背後にある2025年問題などにも触れながら、これからの時代に求められる介護の在り方について解説します。
介護業界で問題視!2025年問題
介護業界はもちろんのこと、医療や福祉の現場で問題視されているのが「2025年問題」です。日本の人口で最大のボリューム層である団塊の世代(1947~1949年生まれ)が後期高齢者(75歳以上)となり、超高齢化社会を迎えるのが2025年なのです。
厚生労働省が公表した資料によると、2015年の国民1人あたりの年間医療費は、65歳未満では平均約18万円でしたが、75歳以上では約93万円と、およそ5倍に跳ね上がっています。つまり、75歳以上になると医療の必要性が高まり、必然的に国が負担する医療給付金が増えることになります。2015年の社会保障給付費ベースでみてみると、2015年では約118兆円でしたが、2025年度には148兆円程度にまで増えると推計されています。ところが、財源となるはずの消費税アップは見送られ続けており、医療や介護を支える財政がひっ迫することは目に見えています。国は社会保障給付費を削減するため、病院や医師の数を削減する方向に動いています。医療を必要とする人数が増えるのにもかかわらず、それを提供する現場が減ることで、必要なときに必要な医療を受けられない人が増えるおそれがあります。
一方、介護の現場では、すでに人手不足が問題になっているにもかかわらず、団塊の世代が一気に75歳以上になることで、現場が回らなくなるリスクが高まっています。認知症患者の増加も懸念材料で、2015年に政府が発表した「新オレンジプラン」では、2025年には認知症患者が700万人を超え、国民の5人に1人が認知症を患うと予想しています。これまで通りの介護サービスを続けていけば、いずれ破たんするのは明らかです。そこで国は、公的機関が一方的に介護サービスを提供するのではなく、国民の自助努力を重視する方針に切り替えようとしています。すなわち、自らの努力で介護度を軽減させて自立することを国民に求めてきているのです。
超高齢化社会に向けて必要な4つの「助」
2015年の介護報酬改定における最大のポイントは「地域包括ケアシステムの構築」でした。これまでの病院完結型の医療スタイルを見直し、自宅や地域の施設で、必要なケアを受けられるようにすることを目指したもので、国の負担を減らす狙いがあったのです。一方、2018年の介護報酬改定では、4つの柱が掲げられました。そのひとつが「地域包括ケアシステムの推進」であり、2015年度の方針がそのまま引き継がれるかたちとなっています。4つの柱のなかでも、特に重要なのが「自立支援・重度化防止」です。今後の介護サービスにおいては、単なるケアではなく「自立を促す働きかけ」が重要視されます。しかも、客観的で明確な改善効果が見られるかどうかが、評価の分かれ目となります。
地域包括ケアシステムの基盤となる概念に「自助」「互助」「共助」「公助」という、4つの「助」と呼ばれるものがあります。このうち「自助」とは「自分でできることは自分で」ということです。自ら介護予防に取り組んだり、健康診断を受けたりすることが、これにあたります。「互助」とは、報酬目当てではなく自らの意志で、地域の人たちとお互いに支え合うことを意味し、ボランティアや当事者団体による取り組み、就労や生きがい探しなどが該当します。「共助」とは医療や年金、社会保障などに代表される、被保険者同士の相互扶助を指します。「公助」は公的機関による支援であり、生活保護や高齢者福祉事業などが含まれます。まずは「自助」を試みて、それで解決しなければ「互助」「共助」と進み、どうにもならないときにだけ「公助」を利用すべし、という国の方針が示されたことになります。自分で努力することなしには国の支援が受けにくい時代になりつつあるのです。
自立支援介護を取り入れて業務に新しい風を!
自立を重視する政府の意向を受けて2018年の介護報酬改定では、リハビリによる身体機能の改善が最重要ポイントになっています。訪問介護では、生活援助中心型サービスの基礎報酬が引き下げられましたが、身体介護中心型では逆にアップし、生活機能向上連携加算も拡充されました。日常生活のお手伝いだけでは報酬アップが見込めなくなったのです。一方、通所介護では、リハビリの成果を問うアウトカム評価が導入されることになり、ADL(Activities Of Daily living/日常動作)維持等加算と生活機能向上連携加算が新設されました。単にリハビリを実施しただけでは評価されず、実際に結果を出す必要があります。すべての施設を対象に、排せつ支援加算が新設されたのもポイントです。
自立支援介護を目指す現場では「なんでもしてあげる」ことから「自分でできることは自分でさせる」方向に切り替えていく必要があります。具体的に求められる基本ケアとしては「水分補給」「栄養摂取」「運動」「排便」があり、これらの項目での自立が当面の目標となるでしょう。これからの介護事業で生き残っていくためには、積極的に自立支援介護に取り組む姿勢が求められます。介護事業の運営にすでに関わっている人や、これから介護事業を立ち上げる人は、いち早く自立支援介護を取り入れて業務に新しい風を呼び込みましょう。
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