
自立支援介護はビジネスチャンス!どう活かす?

2018年度4月から介護保険報酬が改定されました。認知症患者の増加や、団塊の世代とよばれる人々が一斉に後期高齢者になる2025年問題など、さまざまな問題が取り上げられている介護業界ですが、社会保障費の増大を抑えるために2018年度の介護報酬改定では自立支援介護という考え方に重きを置かれるようになりました。自立支援介護とは何なのか、それを重要視している国の考え方など、介護報酬改定から見えてくるものについて解説していきます。特に2018年度介護報酬改定から加算対象となるインセンティブ制度については注目です。
広がりつつある自立支援介護の実践
2018年度の介護報酬改定では様々なサービス変更がなされています。その中でも特筆すべきは、自立支援介護という考え方を基にした新しいサービスの導入です。従来の介護は利用者をお世話するというスタイルの介護でした。病気やケガなどをきっかけに身の回りのことが自分で十分にできなくなった方々に対して、サービスを提供するというやり方です。このスタイルは、できない部分を補う・手伝うという考え方が先行しており、利用者の自主性が反映されにくいものでした。しかし、介護は社会保障上欠かせないものであるのをいいことに、そのサービスにもたれかかってしまう人たちが出てきたのです。それに対して、自立支援介護とは利用者の自主性を尊重し、自立した生活に向けて援助するという考え方です。どうしても他者の助けが必要な部分には、これまで通り介護サービスを提供しますが、自分でできることは極力自分でしてもらうというスタイルです。
介護における問題のひとつにあるのが利用者に対する過介助です。これは、介助しすぎることにより、利用者が本来行えることができなくなってしまうという問題です。過介助は、利用者の介護に対する依存度をさらに高めることにつながり、介助するということが逆に自立度を下げるという悪循環に陥るきっかけになります。そのような負の連鎖を断つために自立支援介護はあります。自立支援介護とは、リハビリテーションの要素を取り入れた介護と言い換えても良いでしょう。
介護報酬改定からわかる自立支援介護の重要性
自立支援介護の重要性は介護報酬改定の中身から見えてきます。それがよくわかるのは、2015年の介護報酬改定であった自立支援のサービスの総合支援事業への移行です。利用者の状態レベルを示す要介護度はその重症度に分けて7段階に設定されていますが、自立支援とは、一番軽い段階である要支援1と2の方に提供されるサービスのことを指します。2015年までは介護保険のもと要支援者にも要介護者と同じように介護保険サービスが適用されていました。しかし、2015年の介護報酬改定をきっかけに、要支援者への介護保険サービスは地方自治体が主に提供する総合支援事業というものに委ねられています。たとえば、公民館などで行われる100歳体操などがそれにあたります。これは自分で動ける人は介護に頼らず自分の力でがんばりましょう、みんなと力を合わせてがんばりましょうという国からのメッセージとも取れます。
自宅に訪問して利用者の身の回りのことを手伝う在宅ヘルパーについても、そのサービス内容が削られています。このように、要支援者に対して過剰な介護サービスを提供することを防ぐために、介護報酬改定でどんどん既存のサービスが削除されています。介護サービスの需要が消えることはありませんが、介護のみを主軸とした事業展開は今後期待しにくいと考えると良いでしょう。
インセンティブ制度を活用すべし
これまでの介護報酬改定の流れから、要支援者など病気やケガの後遺症の程度の軽い利用者が使える公的なサービスは減っていく傾向にあります。それに伴う介護サービスの単価も減少傾向ですが、逆に単価の上がるサービスもあります。それは重症者への介護介入、またはリハビリテーション的展望のある介護サービスの提供です。たとえば、通所介護であれば、個別機能訓練加算という加算対象が増設されました。増設に伴い、一人ひとりの利用者に対するヒアリングや目標達成率の確認など手厚いサービスが必要となります。
また、デイケアであれば、生活機能向上訓練加算というものも加えられています。これは利用者の実際の生活における動作の反復練習を、リハビリテーションスタッフなどとともに連携して、より再現性、実用性の高い訓練をするというサービスです。これは非常に単価の高いサービスであり、求められるサービスのクオリティも高いため導入している事業所はまだ全国的にも多くはありません。
2018年度の介護報酬改定で特筆すべきものはADL 維持等加算とよばれる加算項目です。この加算は、従来の介護保険制度における問題点を解決すべく新たに創設された加算です。従来の介護保険制度では、利用者の活動度や生活のレベルが保たれているという状況が評価されませんでした。本来、利用者の生活レベルを保つことは非常に困難であり、多大な労力を要するものです。それにも関わらず、それらの成果が収益として反映されることはありませんでした。つまり、手厚く介護すればするほど、事業者にとっては骨折り損という制度だったのです。
それが2018年度の介護報酬改定により、生活レベルの維持が加算として評価されることになりました。ADL 維持等加算は、単価としては一人当たり何十円かの話ですが、これが大きな規模の事業所であれば莫大な数字になります。何より利用者の健康的な生活を維持することが評価されるということでもあり、従業者にとっては非常にありがたい加算と言えます。
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