
医療療養病床から介護医療院に移行するには?新しく介護開業はできるの?

ますます進むことが予想される高齢化社会において介護事業は期待が持てる分野です。病院経営を行っているものの経営がうまくいかずに新たなチャンスを探っている事業所などにとって、介護施設経営は新たなビジネスチャンスとなります。しかし、実際に医療療養病床から介護医療院への転換は可能なのでしょうか。この記事では医療療養病床から介護医療院への移行の可能性や注意点などについて解説します。
医療療養病床, 介護医療院, 移行, 介護開業
1.療養病床の種類
医療療養病床から介護医療院への移行を検討するにあたり、まずは基本となる療養病床の種類について押さえておきましょう。ここでは、療養病床の3つの種類とそれぞれの特徴について解説します。
1-1.医療療養病床
「医療療養病床」とは療養病床のうち医療保険が適用される病床のことで、医療法に基づいて設けられています。療養病床は急性的な症状の治療が終了し長期的に入院しながら療養を必要とする人を対象とした病院や診療所の病床で、なかでも特に医療を必要とする人を入院させるところが医療療養病床です。
医療療養病床には、看護職員の人員配置の割合によって「20対1」と「25対1」の2種類があります。看護職員の人員配置の割合とは診療報酬で算定して換算した場合の病床数に対する看護師や准看護師と病床数の比率です。医療法上の施設基準では「20対1」も「25対1」も共に看護職員と病床の割合は「4対1」で定められています。「4対1」とは、4つの病床に対して1人の看護職員の配置が必要ということです。ただし、「25対1」のタイプの医療療養病床の設置については2017年度末に終了しました。そして、その代わりとして創設されたのが後述する「介護医療院」です。
1-2.介護療養病床
介護療養病床は介護保険が適用される病院や診療所の病床です。医療療養病床と同じく療養病床ですが、比較的医療の必要性が低い要介護1以上の高齢者が対象となっています。医学的管理のもと、医療的ケアを施しつつ介護ケアも提供し、生活の場としての役割も担うところです。通常の介護施設と比べて看護師の人員配置が多いため、インスリン注射や痰の吸引といった医療処置に対応しながら、身体の介護やリハビリなどにも従事できるようになっています。
ただし、実際の現場では介護療養病床がその役割を十分に果たせていないことが課題となっていました。そこで、2011年度末に介護療養病床を廃止する方針が定められ、その転換先のひとつとして新たに創設されたのが「介護療養型老人保健施設」(新型老健)です。しかし、新しい形態の施設が創設されたものの転換は思うように進まず、廃止期限はさらに6年後の2017年度末まで延長されました。ただし、移行は2023年度末までとなっていて、介護療養病床と新型老健の廃止後はともに「介護医療院」が受け皿となります。
1-3.介護医療院
介護医療院は「日常的な医学管理を必要とする介護度が重度な患者の受入れ」「看取りとターミナル機能」「生活の場」のすべてに対応できる施設を目指した、医療と介護の両方のニーズに備えた施設です。急速に高齢化が進む日本において高齢者の介護を担う施設の需要はますます高まることが予想されています。特に、長期的な療養を行う高齢者の増加が見込まれるなか、現場の効率性を考え、医療の必要度合いに応じて医療療養病床と介護療養病床の2種類の療養病床に分類されるなど対策が取られてきました。しかし、医療の必要性が高い患者も低い患者も混在して入院している現状があり、医療保険と介護保険に分けている意義が十分に果たせず、その役割は介護医療院へと移行されたのです。
2.医療療養病床から介護療養病床へ転換するには?開業はできる?
今後高い需要が期待される介護業界への新規参入に向けて、医療療養病床からの転換を検討している事業者もいることでしょう。しかし、医療療養病床から介護療養病床への転換はできません。すでに介護療養病床は廃止されているからです。一方、医療療養病床から介護医療院への転換は可能です。介護医療院への転換対象は介護療養病床と医療療養病床、新型老健となっています。ただし、医療療養病床から介護医療院への転換を考えている場合には、特に決定までに十分な検討を行う必要があります。病院や診療所などが介護施設へと形を変えても名称はそのまま引き継げますが、施設の形態は全く変わってしまうことを忘れてはなりません。介護医療院は医療も提供しますがあくまでも介護施設です。病院が一度介護施設へと転換してしまうと、もとには戻れなくなるため注意しましょう。
また、ゼロから新規に開設する場合や一般病床からの開設を考えている場合には、規制がかかることを知っておく必要もあります。介護医療院への転換は基本的に「25対1」タイプの医療療養病床や介護療養病床からの移行が優先とされているからです。新設や一般病床からの移行は早くても2021年以降となるため、介護開業による業界への新規参入を検討しているなら、介護医療院の開設が活発化する前の早いうちに動き出すことがおすすめです。2021年3月までの早期に移行しておくと、初回の届出日から1年間についての移行定着支援加算が算定されるといったインセンティブもあります。
資金が必要なら「介護報酬ファクタリングサービス」を検討
介護医療院への転換に興味を持っているものの、経営状況の見通しがたたないことから事業の参入を決意できずに迷っている事業者も少なくありません。今後の経営への不安から介護事業を始められず二の足を踏んでいるなら「介護報酬ファクタリングサービス」を検討してみるとよいでしょう。「介護報酬ファクタリングサービス」なら介護報酬を通常より1.5カ月前倒しで資金化できるため介護事業による経営状況の改善や安定を目指せます。
リコーリースの介護報酬・障がい福祉ファクタリングは、“負債”扱いにならずに“早期”資金調達ができる介護事業、障がい・福祉事業者向けの金融サービスです。最短5営業日で資金化も可能。サービスの詳細は下記バナーをクリックください。
けあコンシェルでは会員登録いただきますと『実践CaseStudy』や『介護Report』などの介護業界の旬な情報をご覧いただけます。
けあコンシェル会員登録をされた方は、必ず弊社サービスをお受けいただくということではございませんので、お気軽にご登録ください。
福祉医療機構が行った特別養護老人ホームの人材確保に関する2024年度の調査結果によると、職員が「不足している」と回答したのは933施設の69.0%で、前年度(863施設)を1.3ポイント下回った。同機構の調査レポート...
Q. 「介護職員等処遇改善加算」のキャリアパス要件等の経過措置は継続されないのでしょうか?「介護職員等処遇改善加算」(以下、新加算)のキャリアパス要件について、2024年度中は年度内対応の誓約でよいと...
日本看護協会は、2026年度予算で在宅など介護サービスに従事する看護職員の確保・定着につなげるための処遇改善などを求める要望書を厚生労働省に提出した。厚労省側は介護報酬の基本報酬と加算の両面で処遇改善に対...
厚生労働省は4日、認知症老人徘徊感知機器など通信機能を備えた福祉用具の通信や受信端末の費用は介護保険の給付対象外とする案を「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」に示し、おおむね了承された(参照)。これ...
東京都は、3年に1回行っている在宅系と施設・居住系の介護事業者を対象にした運営状況調査を2025年度に実施する(参照)。東京都介護現場革新会議は4日、介護現場でのデジタル化の状況などを詳しく把握するため、調査...
>>その他サービスを見る
早期資金化!介護報酬ファクタリングサービスで解決!現行の介護保険制度では、国民健康保険団体連合会(国保連)から介護報酬を受け取るまでに約2ヶ月かかり、その間に発生する人件費など資金が必要になります。リコーリースの「介護報酬ファクタリングサービス」を利用すれば、通常より1.5ヶ月も早く資金化することができます。
ご利用者様の預金口座から利用料金を口座振替いたします。弊社の口座振替ネットワークを利用して、電気料金などの公共料金と同じように、ご利用者様の預金口座から利用料を口座振替するシステムです。振替日は4日、20日、27日をご用意しております。
車両リースは、資金の効率的な活用を実現し、メンテナンスなど煩雑な管理業務もアウトソーシングできるため多くの企業に採用されています。一般的に車両リースを大別すると、ファイナンスリースとメンテナンスリースに分類することが出来ます。
商圏分析サービスとは、これからデイサービスの開業をお考えの方、既にデイサービスを開業しており増店をお考えの方へ出店したい地域の情報を提供させていただくサービスです。簡易版では、出店したい地域の商圏内における3種類のレポートを「けあコンシェル」会員様限定で無料にて提供いたします。
利厚生の充実は、優秀な人材確保の切り札です。アウトソーシングサービスを活用することで、豊富で充実したメニューを従業員やそのご家族の皆様へ提供でき、満足度を向上することができます。