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2018年介護報酬改定に向けた各事業所の動向は

2017/10/16
2018年介護報酬改定に向けた各事業所の動向は

2018年の介護報酬改定を前に、各事業所は大きな決断を迫られています。これまでのとにかく要介護度の重い利用者を受け入れるといった方針は通用しなくなり、自社の理念を明確にし、それを実現できる人材を育成していく、またその人材を使って地域に積極的な貢献を行うことが必要とされてきているのです。どのような報酬改定が行われるのか、それによって事業所はどう変わっていくのか、どんな準備をしておけばよいのか知っておきましょう。

2018年の介護報酬改定はマイナス改定が既定路線か

現時点で確定しているわけではありませんが、2018年の介護報酬改定はマイナス改定になる可能性が非常に高いといわれています。高齢者の数に比例して伸び続けている社会保障費を、国は2016?2018年度の3年間で1兆5000億円ほど、年5000億円ほどに抑える方針を示しています。厚生労働省の見積もりでは年間の社会保障費の伸びは6400億円と試算されていました。つまりは毎年1400億円の削減ノルマを達成する必要があるのです。これに対応するため2015年度の介護報酬改定では基本報酬を引き下げ、2016年度には診療報酬改定に伴う薬価改定でノルマを達成しました。社会保障費の伸び率を抑える必要性は今後もますます高まるでしょうから、2018年度の介護報酬改定でもマイナス改定は避けられないのではないか、と予測されているのです。

一方で介護が必要となる高齢者の数は増え続けています。報酬を減らしながらサービスを拡大するために、2018年度の介護報酬改定で、アウトカム評価と財政的インセンティブが取り入れられることが決定しています。要介護度がどれくらい低下したか、平均要介護度は全国平均と比べてどれくらいかなどの評価基準を元に保険者である市町村を評価し、評価に応じた交付金を配るという仕組みです。これにより市町村はこれまで以上に介護予防に力を入れる必要性が出てくるでしょうし、各事業所もそれに合わせたサービスを提供することが求められるようになります。

求められる職務の多様化と地域への活動拡大

マイナス改定で減収となる部分をどこで補うか、多くの事業所は収支のバランスに頭を悩ませることになるでしょう。問題はそれだけではありません。現在の介護保険制度の目指す先は「地域共生社会」であり、その地域に属する介護や医療、それに自治体などが連携して地域の高齢者を見守る仕組み作りを目指しています。構想実現のために今後は地域の医療や介護施設の関係者が集まる地域ケア会議が、より頻繁に開催されることになります。こうした会議で存在感を示せるかどうかが、事業運営に当たって重要なポイントとなる可能性もあるでしょう。地域共生社会実現のためには、これまで以上に職務が多様化することも考えられます。これまで現場で介護だけをしていればよかった介護職員も、今後はこうした会議への参加や地域での介護教室の開催などが求められるようになるでしょう。自治体との連携が一層の重要性を増すだけでなく、収入増加の方策が限られ要介護認定がますます厳しくなると考えられる以上、自治体からの要請を受けてこれまでの事業範囲から足を踏み出すことは、もはやほとんどの事業所にとって不可欠のことといえそうです。

地域への活動を拡大するためにはそのための人材が欠かせません。それもただ現場で介護ができるだけの人ではなく、会議を取りまとめたり新しいアイディアを提案して地域に貢献したりする、人材が必要です。そうした人材の確保・育成のための努力をすでに多くの事業所は行っています。

人材不足対策が注目される有力企業の動向

人材の「数」の不足だけでなく、「質」の不足にも対応するため、有力企業の多くが人材育成に早くから取り組んできました。国も2017年度に臨時の介護報酬改定を行って、介護職員処遇改善加算で新たに新加算を加えました。この加算を算定できれば介護職員の給与はおよそ月1万円の賃金改善になります。この加算を算定できれば算定していない事業所と比べて賃金的な優位に立つことができ、優秀な人材を集めやすくもなります。とはいえ算定するだけで人材が育つわけではありません。算定するだけでなく、各事業所が求める人材を育てられるキャリアパス制度を構築してはじめて人を育てる環境が整っている、と言うことができるでしょう。

ある事業所では職員の職務内容を7つの行動指針に落とし込み、その指針ごとにレベル分けをしてその達成度合いによって給与が決まる、というキャリアパス制度を構築しています。これによってパート職員、正社員、リーダーなどそれぞれの職域が明確になるだけでなく、次の段階に到達するためになにが足りないかを明らかにすることもでき、レベルアップへのモチベーション維持につなげることに成功しています。

別の事業所では管理職部門と現場のスペシャリスト部門を区分けし、本人の意向と社内資格によって目指す先を決められる仕組みを取り入れています。

この2事例からもわかる通り、現在の介護業界の動向は「いかに自社の理念に沿った職員を自前で育てられるか」にありそうです。人材不足が続く介護業界では今後もこの動向は続いていきそうです。

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