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障害者施設が知るべき障害者虐待防止法とは?虐待の定義と具体的な行為類型

2019/12/02
障害者施設が知るべき障害者虐待防止法とは?虐待の定義と具体的な行為類型

障害のある人が尊厳を保ちながら生活を送るためには、家族や事業所など周囲からの適切な支援が欠かせません。自立を目指して働くときにも、職場での理解や支援が必要です。障害者虐待防止法は、障害者に対する虐待を防止しながら周囲の支援も促すために設けられました。

この記事では、虐待の定義や詳しい知識を把握するために、障害者虐待防止法について解説していきます。

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障害者虐待防止法とは?

障害者虐待防止法は、障害のある人を虐待から守るために、2012年10月に施行されました。正式名称の「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」が示すように、障害者の家族など養護者への支援促進も盛り込まれています。

障害者虐待防止法は、障害者が尊厳をもって生活し、自立や社会参加を目指すことを目的として制定されました。障害者への虐待を早期発見するためには、地域の連携も欠かせません。この法律によって設置された、自治体ごとの「市町村障害者虐待防止センター」などの専門窓口へ通報や相談を促す取り組みも制定されました。

通報された虐待に対しては、自治体の関係機関が一時保護などの適切な対処を行うなど、速やかな虐待への対策が求められています。

3種類の障害者虐待とは?

障害者虐待は、養護者によるもの、障害者福祉施設の職員によるもの、障害者を雇用している使用者によるもの、と主に3種類に分類されます。擁護者や施設職員、障害者が働く事業所には、それぞれの虐待予防策を実施することが求められています。その上で、障害者虐待防止法では虐待を通報された場合の措置についても定められました。

擁護者による虐待に対しては、市町村が立ち入りなどによる事実確認を行い、一時保護などの対応を行うとしています。

障害者福祉施設の職員による虐待の通報があれば都道府県へ報告されるので、事業所の設置者が行った処置について公表しなければなりません。また、障害者が働いている事業所に対して虐待の通報があれば、労働局へ報告した上で適切な措置を行い公表する、という流れになります。

障害者虐待の5つの行為類型とその具体例

障害者への虐待にはさまざまなものがあるため、ひとくくりにはできません。虐待の主な行為類型は5つに分けられているので、具体例をもとに虐待の型ごとに詳しい内容を理解しておきましょう。

1.身体的虐待

「身体的虐待」とは、暴力によって障害者の体に傷や痛みなどを与えることです。具体的には、殴る、蹴る、つねる、無理に食べ物などを口に入れる、といった暴力的な行動が虐待にあたります。また、体を縛って拘束して動けなくする、部屋など1カ所に閉じ込める、薬を過剰に飲ませるといった行為も身体的虐待とされています。たとえば、家具などに体を縛り付ける、ミトンやつなぎ服を着せて行動を抑制する、医学的に必要性のない投薬で動きを封じることもいけません。支援する側の都合によって、障害者の動きを無理に押さえつけることは虐待にあたります。

2.放棄・放置

「放棄・放置」にあたるものは、障害者が必要とする食事や排せつなどの介助をしないことです。具体的には、食事量や栄養が十分ではないために栄養状態が悪い、入浴や着替えをさせていない、掃除をせず劣悪な環境である、といった例が挙げられます。また、障害者が受けるべき福祉サービスや教育を受けさせないことも、放棄・放置です。たとえば、病気などの不調があっても受診させない、学校に行かせない、身体的虐待などを放置することなども、避けなければいけない虐待といえるでしょう。

3.心理的虐待

「心理的虐待」は、障害者を侮辱するような言葉や態度、脅しなどにより精神的な苦痛を与えることです。たとえば、「バカ」などの侮辱的な言葉を使う、怒鳴ることを指します。また、意図的に仲間外れにする、人格を否定するような扱い、障害者が話しかけているのに無視する、悪口をいう、なども心理的虐待にあたります。

4.性的虐待

「性的虐待」は、性的な行為、または行為を強要することです。障害者の場合は、コミュニケーションがうまく取れず表面的には同意しているように見える場合もあるので、事実確認を行い虐待があったかどうかを見極めなければなりません。具体的な性的虐待には、性交、裸にする、わいせつな言葉を使うなどが挙げられます。また、わいせつな画像を見せる、障害者の着替えを撮影するなども性的虐待にあたります。

5.経済的虐待

「経済的虐待」とは、障害者の財産や年金などの資産を勝手に使い、本人が望む金額を渡さないことです。具体的には、障害者に給付されている年金や仕事の対価である賃金を渡さない、生活に必要なお金を渡さない、といった虐待です。障害者が同意していないのに、勝手に管理することもいけません。障害者をだまして、勝手に資産を運用することも経済的な虐待です。

あってはならない障害者虐待!違法性をスタッフ全員で再認識

障害をひとつの個性として捉え温かい目で見るなら、障害者への虐待は起こらないでしょう。しかし、障害への無理解から生じる障害者への虐待は、ないとはいえないのが現実です。

事業所の職員は、障害者虐待の定義や類型を詳しく理解しておかなければなりません。その上で、虐待の違法性を職員で共有し、虐待防止の具体策を検討していきたいものです。

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