
グループホーム設立にはどんな準備が必要?設置基準と運営について

介護保険創設以来、介護業界で確固とした足取りを残しているのが、グループホームによる認知症ケアです。少人数制と認知症の人に限定したケアは、介護保険発足から15年以上過ぎた今も、学ぶところが数多くあります。その理念に共感して、グループホームを運営したいと考える人も多いのではないでしょうか。ここではグループホームの設置基準について紹介します。
グループホームの概要と背景にある法制度
グループホームの運営を考えるのであれば、その歴史や意義を知っておく必要があるでしょう。グループホームの歴史は、福祉先進国であるスゥエーデンにさかのぼります。スウェーデンの小さな町で始まった「グループリビング」がその発端です。ケアの内容は現在日本で展開されているグループホームと似たようなもので、5~9人の少人数で集まり、ひとつの家庭のように暮らすことを目標としていました。日本では1990年前後からグループホームの前身となる小規模施設が誕生しはじめ、介護保険の導入とともに、正式に制度化されています。
日本におけるグループホームの意義は、認知症ケアに特化していることと、暮らしの継続にあるといえるでしょう。グループホームでの生活は、とりわけ不可逆的に進行するアルツハイマー型認知症に効果的といわれており、認知症の方を癒す施設として大きな役割を担っています。住み慣れた場所から遠く離れず、同じような環境で暮らせることも、グループホームの大きなメリットです。このような環境を整えることで認知症の方が大きな混乱を招くことなく、これまでの生活を継続することができるようになります。認知症になっても住み慣れた地域で最期を迎えたい。そんな当たり前の思いを叶えるために、グループホームは誕生したといっても過言ではないでしょう。
グループホーム設立に関する諸条件
グループホームの歴史やその意義を見てきましたが、次に設立に関する条件を確認しておきましょう。設立に関する条件は大きく分けて2つあります。ひとつは運営主体が法人格を有していることです。もうひとつは人員基準、設備基準、運営基準といった設置基準を満たしていることとなります。後者に関しては次章で詳しく見ていくこととして、ここでは前者について見ていきましょう。
グループホームの運営主体は、個人ではなく法人格であることが求められています。その一方で、特養や老健のように社会福祉法人や医療法人でなければならないといった制限がなく、民間の営利企業やNPOなども運営主体となることが可能です。そのため高齢者向け施設の中では、開設が比較的容易といえるでしょう。厚生労働省の調査によると平成26年10月時点で全国のグループホームの数は12,597件あり、これは特別養護老人ホームの8,925件、有料老人ホームの9,581件(平成26年7月)と比べても大きな数字となっています。近年成長著しいサービス付き高齢者住宅が4,932件(平成26年9月)であることを考えれば、いかに多くの法人がグループホームの運営を行っているかがわかります。
人材・設備・運営についての基準を理解しよう
設立のためのハードルが他の施設に比べて低いといっても、守らなければならない基準があることに変わりはありません。他の多くの高齢者向け施設と同様に、グループホームにも人員基準、設備基準、運営基準の3つが定められています。
まずは人員基準からみていくことにしましょう。介護職員と利用者の比率が、常勤換算で3:1以上が必要であるのは、他の介護施設と同様です。グループホームの場合、3:1の基準では最低限の業務もできないことがほとんどで、多くの施設では2:1に近い人員配置が行われているようです。グループホーム独自の人員基準としては、施設の代表者(施設長)だけでなく、ユニットごとに計画作成担当者と管理者を置く必要があること、三者それぞれが所定の研修を受講しなければならないこと、などが挙げられます。それに加えて看護師の必置基準がないのもグループホームの特徴といえるでしょう。
設備基準では居室や食堂、浴室といった他の施設と同様の設備を有することだけでなく、居室が原則個室であることが求められます。広さも一室あたり7.43平方メートル以上が必要です。さらに1事業所あたりユニットの数が2つまでとされており、グループホーム1件につき、最大でも18名までしか利用することができません(1ユニットの定員は5~9名)。
運営基準では地域住民の代表や、地域包括支援センターの職員などで構成される運営推進会議の定期的な開催や、入居の際に主治医の診断書により利用者が認知症であることを確認していることなどが、グループホームならではの基準となります。
グループホームは施設の中でも参入障壁が低いのが特徴ですが、認知症に対する理解がなければ、運営していくのは難しい施設ともいえます。設立の目的は、認知症の人にその人らしい暮らしを続けてもらうことです。その点を見過ごしてしまっては、経営が行き詰まってしまうのも時間の問題です。本末転倒にならないことを願います。
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