
コンプライアンス違反をしないで介護事業所経営を続けるために必要なこと

介護事業所経営では様々なトラブルが想定できますが、工夫しだいで未然に防げるトラブルの1つとしてコンプライアンス違反があります。ここでいうコンプライアンスとは、法令遵守はもちろんのこと、従業員やサービス利用者、その家族・親族の人権を尊重した行動をすること、という意味も含まれています。コンプライアンス違反をした場合にどのような事態が生じるのか、具体的なコンプライアンス違反として何が想定されるか、コンプライアンス違反を防ぐための対策とは何かをご紹介していきます。
コンプライアンス違反をした介護事業所はどうなるのか
介護事業所におけるコンプライアンスでは、(1)法令遵守(条例や規則、各種解釈通知を含む)と(2)サービス利用者の人権を尊重した行動をすること、という2点を守ることが重要です。逆に言えば、この2点に違反するとコンプライアンス違反となります。コンプライアンス違反をした介護事業所には、いくつかの段階に分けたペナルティが用意されています。
最も軽いペナルティとしては、各種解釈通知に違反したケースとしての、介護給付の過誤調整や是正報告書の提出などが挙げられます。また市町村の条例・規則に違反すると、過誤調整や是正報告書に加え、介護報酬の返還や指定取消に至ることもあります。なお指定取消に関連した処分として、全部取消と一部停止とがあります。指定取消は最も重い処分で、介護保険施設としての指定が抹消され、介護報酬を一切請求できなくなります。全部取消は次に重い処分で、ある一定期間、介護保険に関わる全ての権利行使ができなくなるという処分です。
一部停止は、所轄庁が指定した一部の業務・効力が停止される処分を指します。条例・規則だけでなく、法律や憲法にも抵触した場合、逮捕や刑事罰もありえるため注意しましょう。
代表的な法律としては介護保険法や労働基準法があり、憲法では「基本的人権の尊重」という項目への抵触が想定できます。とくに「基本的人権の尊重」では、従業員だけでなく介護サービス利用者やその家族・親族も含めて考える必要があるため、常に配慮を欠かさずサービス提供することが重要です。
介護事業所のコンプライアンス違反とは
介護事業所におけるコンプライアンス違反とは、具体的にどのような事態を指しているのでしょうか。
(1)法令遵守の観点からいうと、介護保険法や労働基準法、道路交通法、消防法などに違反することが、コンプライアンス違反に当てはまります。たとえば介護保険法、またはそれに関連する保険者(市区町村)のルールに違反するケースとして、不正請求や、多額の介護報酬を受け取ろうとして必要ないサービスを押しつけること、書類作成や記録業務を後回しにして介護報酬請求を行うことなどが挙げられます。また労働基準法違反では、違法な長時間労働、残業代不払い、残業代支払い回避のための不要な管理監督者指定、雇用条件の不当な変更、不当解雇などがあります。道路交通法に関してはスピード違反や車両安全管理業務の怠慢、消防法違反に関しては防火点検や消防訓練の未実施が当てはまります。いずれも犯罪行為であり、改善指導や改善命令、悪質な場合では指定取消や刑事罰もありえるため、注意が必要です。
一方で(2)サービス利用者の人権を尊重した行動の観点では、サービス利用者の人権を無視した様々な対応が対象です。たとえば不要な身体拘束、暴力や暴言、性的虐待、介護放棄などが挙げられます。またサービス利用者の家族・親族への不誠実な対応も、モラルの観点からするとコンプライアンス違反となります。さらに(1)(2)にまたがる違反として、個人情報保護のルール違反も挙げられるでしょう。(2)に関わるコンプライアンス違反も、訴訟に至るケースが想定されるため十分な注意が必要です。
コンプライアンス違反をしないための対策
コンプライアンス違反を防止するためには、日頃の対策が重要です。そのためには、事業所で十分なコンプライアンス体制を整備することと、従業員1人1人の理解を得ることがポイントとなります。コンプライアンス体制を整備するためには、まず担当者が介護保険制度や社会福祉6法、さらに労働基準法や個人情報保護法などの各制度・法令について十分に把握するようにしましょう。
そして事業所の特性や状況に応じて、コンプライアンスルールを作成します。コンプライアンスルールに求められる主要な項目としては、経営方針や経営者・管理者・職員の役割、法令遵守、公益通報や会計経理の方法、プライバシーの保護、事故・苦情への対応、ケア内容、自己評価や情報開示の方法などが挙げられます。これらは最初からすべて整備することが望ましいですが、もし難しい場合は、優先順位をつけて徐々に作成していきましょう。コンプライアンスルール作成にあたっては、従業員との広い話し合いや合意のもとに決定すること、具体的で実行可能な内容であることを重視しましょう。
作成プロセスや実行する場面では、従業員だけでなく専門家などの意見も聞きながら進めていくことも大切です。特に不明瞭な点やトラブルがあれば、すみやかに専門家へ相談するようにしましょう。そしてコンプライアンス担当者をおくこと、従業員への丁寧な説明会を行うこと、定期的な自己チェックを行うことが、コンプライアンス違反を未然に防止するためのポイントといえます。
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