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ケアハラスメントで介護職を減らさないようにするには

2019/03/25
ケアハラスメントで介護職を減らさないようにするには

世間ではいろいろなハラスメントが問題視されていますが、ケアハラスメントもそのうちの一つです。介護を受ける高齢者の数が増加の一途をたどる現代で、ケアハラスメントは決して見過ごすことのできないものとして社会問題化しています。ケアハラスメントの被害に遭うことによって職を辞めざるを得なくなる介護従事者も多く、その対策が必要です。ここでは、ケアハラスメントとはどのようなものなのか、そして、介護職を減らさないためにはどのような対応をするべきなのかを詳しく解説します。

介護の現場で起きているケアハラスメント

一般的に、ケアハラスメントと呼ばれるものには2種類あり、家族の介護をしている人に対するものと、介護職として働いている介護従事者に対するものに分けられます。家族の介護をしている人へのケアハラスメントは勤務先の会社から受けるものである一方、介護従事者へのケアハラスメントは、介護されている高齢者本人やその家族から受けるものです。病院や老人ホームなどの施設に入らず自宅で介護を受けるためには本人や家族に代わって身の回りの世話をしてくれる人が必要不可欠な中、それを担う介護職に対して嫌がらせが行われている事実があります。具体的には、身体的な暴力、高圧的な態度での脅し、性的嫌がらせ、医療行為や制度上できないことの強要などがあり、心身ともに介護従事者を傷つけます。

身体的な暴力は殴る蹴るのほか、物を投げつけたり噛みついたりする行為も含まれ、痣や傷ができることによって周囲が気づくことも多いです。しかし、そのほかの行為については、目に見えない被害であることから明るみに出ないことが少なくありません。そのため、ケアハラスメントを受けた本人が1人で問題を抱えてしまうケースが珍しくないのです。さまざまな暴力に耐えきれなくなった介護従事者が職を辞めてしまうことも多く、介護職不足にどんどん拍車がかかっています。その結果、ほかに介護を必要としている高齢者が満足な介護サービスを受けられなくなるという問題まで引き起こしてしまっているのです。

ケアハラスメントはなぜ起こるか

ケアハラスメントが起こる理由は数多くあります。その一つは、介護を受けている高齢者のストレスのはけ口になってしまうことです。自力で歩いたり食事をしたりすることが思うようにできなくなった高齢者には、少なからずストレスが溜まっています。そのストレスが身近で自分の世話をしている人に対して向けられてしまうのです。さらに、同じヘルパーが長期間同じ高齢者を介護していると、お互いに友達のように親しくなってくることがあります。それ自体は悪いことではありません。しかし、親しさのあまり何を言っても許されるという意識が生まれ、ヘルパーの容姿をけなしたり、介護の腕を馬鹿にしたりする言葉を軽く言ってしまうようになると、それは問題です。

高齢者の家族によるケアハラスメントは、介護サービスを受けている側が利用料金を支払っていることに起因することがあります。直接的な雇用関係ではないにしても、「こちらはお金を払っているのだから、どんな要求にも応えるべきだ」という理屈のもと、理不尽な要求をするという嫌がらせに至ってしまうのです。また、ケアハラスメントは、介護施設よりも在宅介護が行われる高齢者の自宅で起こることが多いものです。それは、高齢者の自宅という場所が介護施設とは異なる「密室」であるということに理由があります。つまり、周囲の目がない自宅という密室では、介護従事者が高齢者やその家族から暴力や嫌がらせを受けても発覚しづらいのです。

ケアハラスメントへの対応は重要

ケアハラスメントの問題を解決するためには、状況に合わせた適切な対応をしなければなりません。被害を受けた本人が毅然とした態度で接することも大切ですが、会社としてあらかじめ社内でマニュアルを作っておくことも必要になります。例えば「女性の介護者が訪問介護に行った先で性的嫌がらせやセクハラを受けたら、担当を男性介護者のみにする」「複数の介護者で担当する」というものなどです。その際は、利用者やその家族に関しても、注意やサービスの契約解除の検討などの対応も一緒にルール化しておきます。また、定期的に社内で勉強会や研修を行い、介護に従事している職員がケアハラスメントへの対応について勉強できる機会を設けることも有効です。ケアハラスメント回避のノウハウや知識を知っておけば、いざというときに戸惑わずに済むこともあります。

そして、何よりもまず大切なのは、実際にケアハラスメントの被害を受けた本人が相談しやすい職場づくりをすることです。残念ながら、上司に相談をしても「そのくらい我慢できなければ介護士失格」というような心ない言葉を返され、我慢や退職を選択したという介護従事者も少なくありません。被害に遭っても会社が守ってくれるという心強さを感じられれば、気持ちも大きく変わってきます。介護従事者がケアハラスメントに怯えず安心して働けるよう整備された職場が増えれば増えるほど、ケアハラスメントによる離職での介護職不足に歯止めを掛けることができるでしょう。

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